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自然に寄り添い、生きる。日本の原風景を求めて 千年風土豊饒の地、信越自然郷へ

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長野ー新潟ー富山ー石川間の約230kmがつながる北陸新幹線(長野経由)が、本年3月14日に開業します。
新幹線の停車駅として生まれ変わる飯山を中心とした信越自然郷の魅力をお伝えしましょう。

豊かな風土と歴史が息づく9つの山里
長野と新潟県境にまたがる飯山市、中野市、妙高市、山ノ内町、信濃町、飯綱町、木島平村、野沢温泉村、栄村の9つの市町村からなる信越自然郷。
志賀高原、北信五岳、なべくら高原などの山々に抱かれ、南北には千曲川が悠然と流れます。
中野市出身の国文学者の高野辰之が作詞した唱歌「故郷(ふるさと)」や「朧月夜(おぼろつきよ)」では、日本の原風景と呼ぶにふさわしいこの地の情景が謳われているのです。

iiyamananohanamatsuri1冬の名残と春の息吹を同時に感じる「いいやま菜の花まつり」
飯山市や野沢温泉村では古くから野沢菜の栽培が盛んで、唱歌「朧月夜」に登場する、菜の花畑や周囲に広がる山々の美しい風景を今も見ることができます。
飯山を代表するイベント「いいやま菜の花まつり」は、もともと飯山市立東小学校周辺で栽培されていた野沢菜の花を再び咲かせ、休耕地の活用に役立てようと地元の農業関係者が企画をしたもの。
平成4 年には「菜の花さかせるかい」が発足し、まつりを盛り上げようと菜の花の面積を広げ、ついには13haもの場所いっぱいに菜の花を咲かせるまでになりました。
“訪れる人は、菜の花が自然に咲いていると思っているみたいです”と話すのは、「菜の花さかせるかい」代表の大平孝之さん。
しかし実際には秋に畑を耕すところから、種まき、草刈りなどを40人ほどの有志でコツコツと準備を進めています。
“鮮やかな黄色が一面に広がる菜の花のじゅうたんの中に桜が咲き誇り、その向こうに山々の残雪が輝き、千曲川の豊富な水がゆったりとした時を刻むように流れていく。ここまで美しい自然のコントラストを楽しめる花まつりは、飯山にしかないと思います。”と大平さんは胸を張ります。
第32回いいやま菜の花まつり

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高橋まゆみ人形館に隣接する「味蔵 月あかり」で出されている郷土料理。手前から時計まわりに「笹ずし」「えご」「いもなます」「田植え煮物」。

歴史や暮らしを感じる郷土料理美味しさの秘訣は水にあり
豪雪地帯としても知られる飯山は、春の訪れとともに雪解け水が森や田畑を潤し、美しい湧き水を育みます。
“この雪が、農産物を美味しくする”と教えてくれたのは、飯山地域の郷土料理を提供する「味蔵 月あかり」のお母さんたち。
郷土料理の代表格は「笹ずし」。戦国時代から伝わり、かつて上杉謙信も食べたといわれることから別名「謙信ずし」と呼ばれています。
新潟から届く貴重な海草を使った「えご」は、海のないこの地方でおもてなしの席などで出されてきました。
寺の町ならではの精進料理「いもなます」も冠婚葬祭などで出される料理で、細く千切りにしたじゃがいものシャキっとした歯ごたえが特徴です。
冬の時期に干した凍み大根を使う「田植え煮物」は田植えや畑仕事の合間に食べる料理。
凍み大根はたくさんの水を含むことから、水に困らないようにという願いを込めて出されてきました。
どの郷土料理にも、飯山の歴史と暮らしが凝縮されています。
“豊かな自然から育まれる恵みが一番の魅力!”と力強く語るお母さんたち。
ここでしか出合えない魅力を求めて、信越自然郷へ出かけてみませんか。

takahashimayuminungyokan1takahashimayuminungyokan2飯山在住の創作人形作家高橋まゆみさんの作品を展示する美術館「高橋まゆみ人形館」では、この地に生きる人々の姿が作品を通して見ることができます。

高橋まゆみ人形館

 

iiyamashokubunkanokai2郷土の食について書かれたおすすめの本
飯山地域の郷土料理のレシピ集「未来へつなごう ばあちゃんの味 かあちゃんの味」(左)、「信州いいやま食の風土記」(右)。2冊とも「いいやま食文化の会」が関わって作ったものです。

 

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