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美と健康をサポートする逸品、南信州の冬の果物“市田柿”

500年以上も昔から、南信州で愛されてきた干し柿

ichidagaki南信州と呼ばれる飯田・下伊那地域では、11 月から「市田柿」という品種の渋柿の収穫をはじめ、1 カ月半ほどかけて干し柿を作ります。栽培が始まったのは、今から500 年以上前。下伊那郡高森町の市田地域で栽培されていた焼柿と呼ばれていた渋柿を、大正10(1921)年に「市田柿」と称して出荷をしたのが始まりです。南信州では古くから、市田柿を正月に食べる風習がありました。柿は福を“かき”あつめるといわれ、長寿を願う「歯固め」の儀式に用いられ、食べた市田柿の種が多いほうが縁起が良いといわれてきました。

ドライフルーツの先駆け“市田柿”をブランド化

ichidgakimark 平成18(2006)年、市田柿の美味しさを、もっと幅広い世代の人に知ってもらおうと、みなみ信州農業協同組合と下伊那園芸農業協同組合が市田柿の地域団体商標登録を取得。その翌年には、安心・安全な市田柿をもっと多くの人に広めるために「市田柿ブランド推進協議会」を設立しました。それまでは各農家の家庭で市田柿作りをするのが一般的でしたが、設立をきっかけに衛生に配慮された環境で加工されるようになりました。工程は1 カ月半ほどかかります。まずは専用の機械で柿むきをし、柿のれんを使って1 カ月ほど干し上げます。その後は乾燥状態を見ながら柿をもみ、天日干しをします。これを何度か繰り返すうちに柿の中心部に残っている水分が押し出され、やわらかくてシワのない、きめの細かい粉(ブドウ糖)に覆われた干し柿が完成するのです。

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左…阿智村出身の写真家・童画家熊谷元一が描いた、かつての各家庭の柿むきの様子。
右…専用の機械を使った現在の皮むき作業。徹底した衛生管理のもとで作られている。

野菜や果物が少なくなる冬こそ、市田柿で栄養を

市田柿は一般的な柿より小ぶりで渋みが強い品種の柿ですが、糖分や栄養価は甘柿よりも高いのが特徴です。渋みの成分であるタンニンは、干すことで果肉に溶け出さなくなり、本来持っているさっぱりとした甘みが引き出されていきます。また、干し柿1 個(30g)のカロリーはバナナ100g とほぼ同等でエネルギー補給の効果が高いので、食事をする時間が無い時は市田柿を食べるのも良いでしょう。また食物繊維やカロテンなどの含有量も多いので、健康や美に気をつかう人におすすめです。何百年も前の人々も、きっとこのことを体で知っていたんでしょうね。 市田柿はお茶請けとして、贈答用の高級和菓子としてだけではなく、スイーツやパン、洋食など食べ方もいろいろです。南信州の豊かな自然と人の手で一つひとつ丁寧に作られている冬の果物・市田柿を、味わってみましょう。

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