信州の誇る発酵文化、味噌～こだわりのつくり手を訪ねて～2016.01.25
健康長寿県・長野の食文化の礎をなす発酵食品の中で、代表格といえるのが味噌。
シェアの4割以上を占める全国一の生産地である信州には、今も地元で愛される多くの味噌蔵があり、家庭での味噌造りも受け継がれ、各地で風土に根差した味噌が造られています。
今回は、そんな個性豊かな信州の味噌造りをご紹介しましょう。
鬼無里のかあちゃんたちが造る昔ながらの手作り味噌
地域の素材と伝統の味でふるさとをもっと元気に
鬼無里で味噌といえば、各家庭で仕込むものでしたが、時代とともに減少傾向に。
10年程前のそんな中、伝統の味を守らなければと思い立った地元のお母さんたちにより「手づくり味噌の会」が結成されました。地元産の大豆と米、沖縄産天然塩を使い、昔ながらの製法で造るこだわりの無添加味噌は、豊かな風味とまろやかな味わいが好評で、今では年間約6トンが製造されています。
そして昨年、手づくり味噌の会も協力し「裾花ていばん家」が発足。この冬には、大根やにんじんなど地元で採れた野菜を自慢の味噌で熟成させる郷土食「味噌漬け」を仕込んでいます。「味噌はもちろん、ここで採れた野菜や伝統の味で、地域を元気にしたい。味噌漬けもおやきに並ぶ名物になればうれしいですね」と語る代表の久保田さん。水芭蕉で有名な奥裾花自然園や鬼女・紅葉（もみじ）の伝説で知られる風光明媚な山里で、お母さんたちの新たな挑戦がはじまっています。
裾花ていばん家（長野市鬼無里）
地元の農産物で地域の活性化を図ろうと、JAながの女性部裾花支所「漬物グループ」、「手づくり味噌の会」、直売所「ちょっくら」の3団体が協力して設立した合同会社。
極上の糀と技で醸す北信濃の名工の味噌
創業当時から変わらぬ糀づくりへのこだわり
鬼無里で味噌といえば、各家庭で仕込むものでしたが、時代とともに減少傾向に。
信州屈指の果樹や野菜の産地である中野市の芋川糀店は、今年85年目を迎える家族経営の味噌蔵。創業当時はその名の通り米糀の専門店で、味噌が主力商品となった今も、糀づくりが最も気を使う難しい作業であり、最もこだわる部分であると芋川さんは語ります。
季節で温度や湿度が変わるので、糀を同じ品質に保つための微細な調整が必要なのですが、最後に頼れるのは経験値だそうです。「毎日、自分の目で見て触っていると、見た目や感触で違いが分かるんですよ」と言う芋川さん。これまで「芋川糀店」として築きあげた糀と味噌造りを守る一方で、新たな取り組みにも積極的です。
えのき茸の生産量日本一を誇る中野市の特産品「えのき氷」を使った味噌や、地元の農協青年部が作った大豆と米を使った「俺の味噌」の商品化などにも挑戦。「味噌は手をかけた分だけ良いものになる。これからも付加価値のある商品を作っていきたいですね」と意欲を燃やします。
芋川糀店（中野市）
信州味噌の名工に認定された父の芋川吉孝さんの跡を継ぎ、3代目社長となった芋川嘉寛さん。男4人の兄弟を育ててくれた店を残したいという想いから、地元商工会議所の職員を退職し味噌造りの道へ。
信州の味噌NEWS
地域ごとに信州そばの種類はさまざま。その一部をピックアップしてご紹介します。銀座NAGANOに登場するそばもあるのでチェックを！
諏訪地方の岡谷市で健康に良い味噌造りに取り組む松亀味噌。長野県の長寿日本一にちなみ開発・リニューアルした「健康長寿」は、県産の大豆と米、そして長野県工業技術総合センターが開発した麹菌「R2」を使用した業界初の製品。旨味が強く、ビタミンB2やアミノ酸が多く含まれるR2の特性が活きた、健康志向の高い方におススメの一品です。
木桶で二夏以上熟成させた、長期天然醸造の味噌。玄米を糀にした上で大豆も麹にするという非常に難しい技法で作られる珍しい品で、煮立てても風味が損なわれず、むしろ深みが増すという力強さが特徴です。田舎ながらの奥深い味わいをご家庭でも。
マルコメとアソビシステムでは“MISO KAWAII”をテーマに原宿通り入口の「もしもしボックス」内に期間限定で味噌汁スタンドをオープン。定番の味からチーズとトマトが入った「裏原宿味」など8種類の味噌汁を1杯100円で提供中。外国人観光客は1杯無料に。
かるしお認定は、「塩を軽く使ってうまみを引き出す、減塩の新しい考え方」を広めていく認定制度。ハナマルキでは30％以上の減塩や「おいしさ」についての審査をクリアした、生みそ・だし入りみそ・即席みそ汁の3カテゴリーの商品を発売中です。
ひかり味噌は、通常の醸造工程に加え、最終段階で0℃～氷結点までの温度帯で熟成させた『氷温熟成味噌華雪』を開発。この業界初の氷温熟成法により、塩角が取れ、まろやかなうま味・甘味が引き出された味噌が誕生しました。
