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信州ではじめる 新しいつながり 自分らしい暮らし Vol.2
「地域ぐるみの教育環境が人気を集める美麻地区」

アイキャッチ?

立山黒部アルペンルートの玄関口として有名な大町市の北東部に位置する美麻地区(旧美麻村)。山間部にありながら、その特徴的な教育環境から人気の移住先で、中には移住者の割合が9割を超える集落もあるというから驚きです。

美麻地区の教育や地域づくりを語る上で欠かせないのが大町市立美麻小中学校の「地域学校協働コーディネーター」や大町市の「定住促進アドバイザー」を務める前川浩一さんの存在です。前川さん自身も約30年前、大阪府から当時の美麻村に移り住みました。

前川さん

地域活動に加え、旅人民宿「しずかの里」や食堂も切り盛りする前川浩一さん

 

きっかけは、約30年前に始まったメンドシーノ交流ボランティア

小学5、6年生全員が姉妹都市であるアメリカのカリフォルニア州メンドシーノに訪問するという特徴的な国際交流教育を約30年前から実施する美麻地区。大阪で学習塾を運営していた経歴もあり、この事業のボランティアに誘われたのが、前川さんの地域づくり活動の始まりで、現在もボランティアの会長を務めています。

カリフォルニア州メンドシーノとの交流事業

カリフォルニア州メンドシーノとの交流の様子。隔年で相互に訪問

大町市への合併にあたり、事業の存続が危ぶまれたときもありましたが、「この国際交流活動がなくなってしまうと美麻地区のよさが半減してしまう」との思いから、存続のための活動や、合併後のまちづくりを考える勉強会などを立ち上げるなど、この地域の自治の基盤ともなる取組みを推進してきました。

 

地域に出て地域を学ぶ、総合学習が子ども達の考える力を育む

2011年、美麻地区にひとつの転機が訪れます。美麻小中学校にやってきた当時の校長先生が「子どもたちが地域をフィールドにして学ぶ総合学習をやりたいので手伝ってほしい」と前川さんに相談を持ち掛けたのです。2014年には国のコミュニティ・スクールの認定を受け、地域住民が学校運営に参加する基盤ができあがりました。

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地域住民が学校運営に参加。よりよい教育を目指し、住民と先生が子ども達のため協働

前川さんは「地域学校協働コーディネーター」として地域と学校との連絡調整や企画提案などを行うとともに、地域と子どもたちをつなぐハブ的な役割を果たしています。

メンドシーノとの国際交流事業と並び美麻小中学校の特徴のひとつでもある総合学習では、各学年ごと定められたテーマに沿って、子どもたちが地域に出て、地域について深く学びます。

写真4

学校に隣接する林で学ぶ4年生の総合学習の様子

特に7年生以降は子どもたちが自ら考えたテーマについて3年間かけて学びを深めるそうで、前川さんは毎週学校に顔を出し、子どもたちのアイデアを聞き、「世に出すのなら社会に通用するものを」と、時にはアドバイスをしたり、地域の人を紹介したりします。

「地域住民の協力を得ながら、特産品の花豆を使ったスイーツ開発や、地元を紹介する地図やかるた作りを手がけた子どもたちもいるんですよ」とうれしそうに話す前川さん。「基本的に答えは教えない」と言いながらも、困ったり、戸惑っている時には手を差し伸べるといいます。

銀座NAGANOでの花豆テスト販売(左)とこの春卒業を迎えた生徒たちが約5年かけて作り上げた「美麻カルタ」

銀座NAGANOでの花豆テスト販売(左)と、この春卒業を迎えた生徒たちが約5年かけて作り上げた「美麻カルタ」(右)

美麻小中学校は、従来の山村留学に加えて、小規模地域特認校(※)にも認定され、今では全校生徒95人のうち38人と4割の生徒が他の地域から登校するなど、美麻地区ならではの教育は県内外から注目を浴びています。

※通学区域に関係なく市内のどこからでも美麻小中学校へと就学できる仕組み

 

地域の人とのつながりが決め手で美麻へ移住

そんな美麻地区の取り組みに共感し、2018年に神奈川県から移住してきたのが北村大士さん一家。奥さんと3人の子どもの5人家族です。保育士の資格も持つ北村さんは、親同士が子どもの面倒をみる自主保育を行う保育所「こどものにわ」を立ち上げ、代表を務めています。

写真7

北村大士さん

移住のきっかけは、神奈川県で親しくしていた家族が美麻に移住していたこと。何度かこの地を訪れる機会があり、そこでできた地域の人とのつながりが決めてになったと言います。そのつながりが子どもの教育の場面にも広がっている美麻地区は、北村家のスタイルに合っていたのでしょう。

すぐ近くに住んでいる前川さんも北村さんにとって心強い存在です。移住前にも前川さんの案内で学校見学に訪れたそうで、その際子供の自主を重んじる教育方針にとても感動したと当時を振り返ります。「田んぼがあって、畑があって、そんな中を自転車で走る。そんな何でもないような生活がとても心地よいんです。田舎だけど市街地にもほど近く、長野市や松本市ともそう遠くない距離だからとても暮らしやすい」と北村さん。

定住促進住宅

自然豊かな美麻地区に建つ3棟の定住促進住宅

 地域全体が関わり合う学校、そして多様な価値観を受け入れる地域の人たちが、新たな移住者を温かく迎えます。

 

※この記事は2021年8月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください。

 
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