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【特集記事】フランス人食材研究家の長野テロワール旅
Vol.2 パリの美食家たちを魅了した長野県産食材×フレンチのレセプション

フランス・パリではクリスマス(ノエル)に向けた準備が始まり、街が輝きに包まれ始める時分の11月3日、パリ中心部のオペラ地区にある5つ星ホテルを会場に、長野県産食材とフランス料理の融合による、レセプションが開催されました。

会場の装飾は、パリ在住で大町市出身のフローリストが担当。飯田水引と南木曾ろくろ細工を活用した活け花で彩られた

▲会場の装飾は、パリ在住で大町市出身のフローリストが担当。飯田水引と南木曾ろくろ細工を活用した活け花で彩られた

集まったのは、フランスの食関係のバイヤーやメディア、旅行会社など。提供された料理は、いずれもオモンさんとシェフによって開発されたレシピです。
「食材には無限の可能性がある。長野県産食材をそのまま和食に使おうとするのではなく、ぜひ、フランス料理に取り入れられたシーンを想像してみてほしい」
プレゼンテーションをこのように締めくくったオモンさんの想いが随所に現れた、味噌、寒天、わさびと日本酒の味覚(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味・そして脂味!)や香りなど、分子レベルで相性がよい食材を組み合わせた4品が登場しました。

長野県の訪問地を振り返りつつ、各地で出合った食材や食文化の魅力を語り、その分析を踏まえ、この日提供する料理のポイントをプレゼンしたオモンさん

▲長野県の訪問地を振り返りつつ、各地で出合った食材や食文化の魅力を語り、その分析を踏まえ、この日提供する料理のポイントをプレゼンしたオモンさん

まず、登場したのが、「青リンゴ、ライチ、日本酒を合わせた生牡蠣の前菜」。日本酒の果実香の分析から、食前酒として2種類のカクテルが振る舞われ、そのマリアージュを踏まえて提供されました。

「青リンゴ、ライチ、日本酒を合わせた生牡蠣の前菜」。乳化させたライチ果汁のやさしい甘さを長野県産寒天で固め、日本酒を加えた青りんごのジュレを添えた一品。牡蠣の持つミネラルとヨード香に合わせた繊細な味わいに

▲「青リンゴ、ライチ、日本酒を合わせた生牡蠣の前菜」。乳化させたライチ果汁のやさしい甘さを長野県産寒天で固め、日本酒を加えた青りんごのジュレを添えた一品。牡蠣の持つミネラルとヨード香に合わせた繊細な味わいに

長野県内7蔵の日本酒を提供。食前酒として日本酒をベースにした2種類のカクテルも提供された

▲長野県内7蔵の日本酒を提供。食前酒として日本酒をベースにした2種類のカクテルも提供された

分析結果の特徴がわかりやすく感じられ、参加者からも好評だったのが、コーヒーと味噌パウダーを添えたホタテのポワレです。味噌は低温調理によるメイラード反応(加熱により糖とアミノ酸間に起こる反応)により香ばしくなり、発酵による旨味と、コーヒーの焙煎風味、微量の酸が組み合わされることで、それぞれの旨味がさらに際立つそう。ホタテのポワレの香ばしさと、味噌の持つコク、味噌を低温で焼くことにより生じるアミノ酸の旨味とキャラメル香、コーヒーの香ばしさと軽やかな苦味が感じられました。

「味噌仕立てのホタテ貝柱 コーヒーと味噌パウダーのキノコ添え」。ふたつの貝柱を使って提供され、それぞれに味噌とコーヒーの持つ深い味わいを堪能できる一皿

▲「味噌仕立てのホタテ貝柱 コーヒーと味噌パウダーのキノコ添え」。ふたつの貝柱を使って提供され、それぞれに味噌とコーヒーの持つ深い味わいを堪能できる一皿

メイン料理に提供されたのが、フランスのクリスマス食材であるフォアグラ料理です。「大豆、トリュフ、セロリを合わせたフォアグラ料理」は、半熟のフォアグラ、トリュフに、長野県産寒天を使ってパール状に仕立てた醤油ソースをトッピング。視覚・味覚・食感にアクセントが加わり、創意溢れる一皿に多くの参加者が魅了されました。

「大豆、トリュフ、セロリを合わせたフォアグラ料理」。醤油を寒天でパール状に仕立てることで、添えものだけでも長野らしさが高まることを実感できた一品

▲「大豆、トリュフ、セロリを合わせたフォアグラ料理」。醤油を寒天でパール状に仕立てることで、添えものだけでも長野らしさが高まることを実感できた一品

デザートに提供されたのは、粉わさびとすりたての長野県産本わさびを少し加えたチョコレートムースです。わさびのほのかな苦味や辛味、香りがチョコレートのコクやカカオの苦味と好相性。コクがありながらも爽やかさが広がる味わいに参加者たちは舌鼓を打ちました。

デザートの「長野県産寒天とわさびを使ったチョコレートムース」。チョコレートの濃厚な風味を寒天で軽やかに仕上げ、わさびの独特の味わいがムースを個性的に引き立てた

▲デザートの「長野県産寒天とわさびを使ったチョコレートムース」。チョコレートの濃厚な風味を寒天で軽やかに仕上げ、わさびの独特の味わいがムースを個性的に引き立てた

さらに「オリジナリティやパフォーマンス性も見事」と感嘆の声があがったのが、白味噌のアイスクリームを参加者の目の前で作るパフォーマンスです。オモンさんが松本市の味噌蔵で食べた味噌ソフトクリームからヒントを得て実現したもので「ほんのりとキャラメル風味が感じられておいしく、ぜひ家でも試してみたい」と話す参加者も見受けられたのが印象的でした。

オモンさんによる液体窒素を使った即席白味噌アイスクリーム作りの実演

▲オモンさんによる液体窒素を使った即席白味噌アイスクリーム作りの実演

濾してなめらかな口当たりに仕立てた長野県産白味噌を溶かしてアイスクリームを作り上げた

▲濾してなめらかな口当たりに仕立てた長野県産白味噌を溶かしてアイスクリームを作り上げた

「自然体験や文化遺産もさることながら、健康長寿であることも興味深い。長野県民が健康長寿なのは、澄んだ空気と新鮮な果物や野菜、そしてこの地域の誇りともいえる味噌などの発酵食品やバランスの取れた食生活による質の高いライフスタイルがあるからだ。長野県が4つの県産品に焦点を当てて地域の魅力を紹介し、ゲストを美食の旅に誘ったのも必然といえよう」

現地旅行メディアが後日、記事でこう記したように、食材はもちろん、自然豊かな長野県の環境と文化に興味を抱く参加者も多数。トップシェフから新たな流行や文化が広がり、旅の目的地としても王道の観光地ではなくローカルエリアが注目されつつあるフランスとの交流により、今後、長野県産品や地域の価値や魅力が磨かれ、世界に羽ばたいていくことを期待せずにはいられません。

※この記事は2024年1月時点の情報です。

 
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