祝「山の日」誕生!山と親しみ、山の恵みに感謝する2016.07.22
3,000m級の数々の名峰が聳える日本を代表する山岳県・信州。
壮麗な山姿は、多くの人々を魅了し、その自然は美しく豊かな空気、水、森を育みます。
信州には、山の恵みをいただき、時にはその厳しさを受け入れる、山と共にある暮らしがあります。
8月11日は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する「山の日」。信州の山をこよなく愛する方に、その想いを聞いてみました。
山に訪れる人々を想い、山を愛する登山道整備
五感で山を楽しんでほしい―そんな気持ちが込められた道
全国屈指の山岳リゾート白馬エリアの中でも人気なのが標高2,696mの唐松岳。標高1,850mまでゴンドラなどで到達でき、八方
池などの見所も多く北アルプス入門の山と呼ばれ、毎年幅広い層の人々が訪れます。
普通に歩けることが当たり前のように感じてしまう登山道ですが、その陰には日々道を点検し整備する人たちがいます。そのひとりが唐松山荘支配人の中川さん。
「北アルプスは稜線や高山植物など本当に自然が素晴らしい。足元ばかり見ていて咲き誇る花に気がつかないなんてもったいない。五感をフルに使って楽しく安全に山を歩いてほしいんです」と微笑みます。
土砂などで地形や高山植物に影響が出ないようにと自然への配慮も忘れないのが中川さんのポリシー。人が通ったから山が荒れたと言われないように、極力そこにあるものを残し活かして歩きやすい道をつくる中川さんの登山道整備には、山を愛する故のこだわりが詰まっています。
福井県出身。学生時代は漁師のアルバイトをするなど海を中心とした生活から一転、友人と出かけた信州の山々の美しさに感銘を受け、一気に山の世界へ傾倒。唐松山荘一筋の山小屋勤務は、今年38年目を迎える。
山の恵みへの感謝は、美しい自然を守ること
山とともに歩む人生の始まりはライチョウとの出会い
登山をはじめた翌年、間近でライチョウに出会った瞬間その姿の虜となり、その後ライチョウに出会うために週1回は山へ入るようになったという広平さん。
記録用にとはじめた写真が「田淵行男賞岳人賞」を受賞したことをきっかけに雷鳥写真家へと転身し、山を生業とする生活が始まりました。自然の織りなす美しい瞬間に数多く触れ、山の恵みの尊さをより深く感じるようになったそうです。
「山が人を魅了するのは、都市にはない自然のありのままの美しさがあるからだと思うんです。山を楽しむためにもその姿を守っていかないといけない」と熱く語ります。
「正直山でゴミを捨てるような人は注意してもなかなか意に介さない。でも、ゴミを拾ってくれる人を増やしていくのは
意外と簡単なんじゃないかと思うんです。本当に山が好きな人なら、山への感謝の気持ちを持っているはずですから」と私たちにもできることを教えてくれました。
長野県自然保護レンジャー・山岳看護師 高橋恵子さん
ボランティアで自然環境の保全活動を行う自然保護レンジャーとして活動するご夫婦。広平さんは雷鳥写真家として活躍し、恵子さんは全国で5人、長野県内では唯一の山岳看護師の資格を所有。
全身で山の恵みを享受するブナの森の森林セラピー
森に抱かれて過ごす非日常が眠っていた五感を呼び覚ます
日本一の森林セラピー県である長野県には、森林や遊歩道・ガイド等の体制が整う10箇所の「森林セラピー基地」があります。そのひとつが小谷村のくつろぎの森。小谷の豊かな自然をもっと知って欲しいとロッジを営みながら森林セラピー講師として活躍するのが太田さんです。
案内するのは樹齢200年を超えるブナ林に囲まれた「雨飾高原鎌池コース」。落ち葉の絨毯にシートを敷き寝転んで身体をリラックスさせ、五感を呼び覚ますのが太田さん流のセラピー。
「葉が揺れる音、川のせせらぎ、蛙の鳴き声など自然の音はどれも不規則。それが都会の計算されつくした音よりも身体には心地いいんですよ」と穏やかに教えてくれます。
また樹木が発するフィトンチッドという成分はリラックス効果があり、ツアー後には血圧が下がる人も多いのだそう。森のエキスを身体全部で吸収しているような気持ちになれる至福の時間がそこにあります。
京都出身、結婚を機に小谷村へ。旬の食材を使った郷土料理や温泉など、素晴らしいこの森林の恵みをもっと伝えたいとガイドに。女性限定の企画など要望に応じて案内している。