伊那谷、桜物語~高遠城址公園、そして光前寺へ~2017.03.24

少し遅れてやってくる信州の春。桜の花がほころぶのもだいたい4月になってから。南信州を皮切りに桜前線は徐々に北上し、多くが中旬から下旬に花時を迎えます。
県内各地にさまざまな桜の名所や名木がありますが、中でも伊那谷は、東西両方に連なるアルプスの峰々を背にした野山や街の景色に、鮮やかなピンクが溶け込む桜の里。
全国の人々を魅了する高遠城址公園、そして光前寺の桜人を訪ねました。

守り継がれる高遠城址公園の「天下第一の桜」
1500本の木々と向き合う高遠の桜守の仕事
明治8年頃、荒れたままの高遠城址に旧藩士たちが「桜の馬場」の桜を移植したのが高遠の桜のはじまり。
今では、樹齢130年を超える20本の古木をはじめとする約1500本もの桜が咲き誇り、「日本三大桜名所」にも数えられます。

この地域の宝を守り継ぐのが「桜守」と呼ばれる職人たち。剪定や支柱立てはもちろん、肥料をあげたり病害虫がいないかを見まわったり、1年を通して一本一本の桜と向き合って世話をします。
「桜は生きものなので毎日変化する。何年やっても気が抜けませんね」と西村さんは語ります。

高遠の桜の美しさは、その本数だけでなく“天下第一の桜”と称されるタカトオコヒガンザクラの品種の特徴にもあります。花びらはソメイヨシノよりも小ぶりですが、蕾が多く群れを成して咲くためボリュームがあり、赤みが強いので満開の頃は、公園全体が鮮やかなピンク色に染まります。
「花は下向きに咲くので、真下から桜を見るのも良いですよ。薄い花びらから空が透けて見える感じも神秘的です」と西村さん。

桜守としての一番の喜びは、「高遠の桜はやっぱりきれい!」と言ってもらうこと。そのために極力枝を切らずに花を残すようにし、また高所作業車が入れないような急坂の木でも長いハシゴを掛けて手入れするなど、作業に妥協はありません。
桜の木は西村さんにとってこどもみたいなもの?と尋ねると「まさか、とんでもない!大先輩ですから」と笑みを浮かべる表情には、木々への感謝と大切に思う愛情があふれていました。
伊那市振興公社
桜守 西村一樹さん
大学卒業後、地元の高遠で働きたいと職を探すなかで出会ったのがこの「桜守」の仕事。先輩から技術や桜に対する心構えを受け継ぎ、現在13年目。総勢5名の桜守のリーダーとして活躍しています。
高遠そば
焼き味噌と辛味大根でいただく、昔ながらのそば
高遠そばの起源は古く、一説には醤油や鰹節のない江戸初期に発祥したとも言われています。焼き味噌に辛味大根のおろしまたはおろし汁をあわせた「からつゆ」でいただくのが特徴。味噌を半分くらい小鉢へ入れたら、おろしとネギは食べる直前に入れるのが風味を損なわないポイントです。
- [高遠そば提供店]
- 壱刻 TEL 0265-94-2221
- ギャラリー土味の器 TEL 0265-94-2306
- 華留運(けるん) TEL 0265-94-4277
- 七面亭 TEL 0265-94-3517
- 紅さくら TEL 0265-94-5580
- 高遠さくらホテル TEL 0265-94-2200
- 風聲庵 TEL 0266-72-7211
- ますや TEL 0265-94-5123
- みすゞ食堂 TEL 0265-94-2311
- 楽座.紅葉軒 TEL 0265-94-2154
- そば処高遠(高遠城址公園内4/6~16限定)
ますや 店主・守屋豊さん
風味が増すように味噌をしっかり焼き、焼きたてで提供することがご主人のこだわり。
薄皮でたっぷりあんこが高遠の証
お花見のお土産にも愛用される歴史ある銘菓。上品な甘さと店ごとの名が入った桜型の焼印も特徴です。
創業明治8年の「老舗 亀まん」の亀まん頭も高遠名物のひとつです。
- [高遠まん頭提供店]
- 千登勢 TEL 0265-94-2132
- 大西屋 TEL 0265-76-0248
- あかはね TEL 0265-94-2127

信州屈指の名刹で愛でる20年目の春宵の桜
光としだれ桜が誘う光前寺の幽玄な夜
秘仏とされる不動明王を御本尊として貞観2年(860年)に開山された光前寺。信州では善光寺に次ぐ規模の大刹で、南信州を中心に広く信仰をあつめています。
樹齢数百年の巨木が立ち並ぶ境内には県宝 三重塔が建ち、神秘的な光を放つ光苔、国の文化財に指定されている県内唯一の名勝庭園など見所も多数あります。

そんな光前寺で桜が愛でられるようになったのは半世紀ほど前の頃から。「こどもの頃、先代が田んぼばかりのこの地に桜の苗を植えていたのを覚えていますよ」と吉澤住職は語ります。
その後も桜は増え現在は約70本に。「光前寺の桜はこんなにきれいなのに、あまり地元でも知られていなかった。だからもっと多くの人に見てもらえるようにとライトアップをはじめたんです」と実行委員長の中山さんは振り返ります。
今年20周年を迎えるライトアップ。今では地元はもとより、全国からその幽玄な夜を楽しみに多くの人が訪れています。
宝積山 光前寺
住職 吉澤道人さん
仁王門を額縁に見立てて、桜と石畳を入れた風景が住職のおすすめ。
光前寺ライトアップ実行委員会
委員長 中山茂房さん
光前寺の隣で温泉宿を営むご主人。おすすめの桜は満開の不動滝桜。
駒゙(ごま) はいかが?
セサミン・ビタミン各種・ポリフェノールなどが豊富に含まれ、美と健康に優れた健康食材のごま。しかし、そのほとんどは外国産というのが実情です。駒ヶ根では地元産のごまで商品をつくろうという「ごまプロジェクト」を推進中。駒ヶ根に寄ったら、ぜひいろいろなごま商品をチェックしてみてください。
あらずり黒
(430円)
食感と風味の両方を楽しめる、あらずりの黒ごま。黒ごまようかん
(550円)
個包装されたひと口サイズの香り豊かな羊かん。寒天すりごまもち
(330円)
ごま&寒天で栄養バランスも◎な新食感の一品。黒駒゛ジェラート
(350円)
駒ヶ根ファームス内の「すずらんハウス」で販売。黒ごまだれ
(520円)
牛焼肉やコロッケ、肉野菜炒めなどにおすすめ!