塩尻ワインの魅力~紡がれる歴史、集う人々~2017.09.25
明治中期に豊島理喜治らが原野だった桔梗ヶ原を開拓し、林五一らが醸造をはじめて誕生した塩尻ワイン。
メルローやシャルドネなどの欧州系品種の導入にいち早く取り組み、国内屈指のワイン産地としての地位を築くだけでなく、新進のワイナリーも続々と興り、風物詩の塩尻ワイナリーフェスタには、毎年5000人を超える愛好家たちが集います。
そんな塩尻ワインの魅力にひき寄せられ、ワインとともにある方々を訪ねました。
地元農家とメルシャンが挑む世界に誇る塩尻のメルロー
“いいワインをつくりたい”農家もメーカーも想いはひとつ
40年ほど前までの塩尻ワインといえば、赤はコンコード、白はナイアガラが大半。そんな時代、地元農家を情熱的に説得し、国内初となる本格的なメルローの栽培をこの地でスタートさせたのが三楽オーシャン(現メルシャン)の故・浅井昭吾氏でした。
栽培を始めてから14年後、その試みは「信州桔梗ヶ原メルロー1985・86」がリュブリアーナ国際ワインコンクールで2年連続大金賞受賞(1989-90)という最高の結果をもたらします。これは、日本ワインが世界から認められた瞬間でもありました。
「メルシャンの担当者はまめに畑に来て、生育状態を検査したり、農家との交流も深めたりしてくれる。ぶどうの仕分けもすごく厳しいけど、ワインにかける情熱はこっちも同じ。良いぶどうつくらなきゃって思うよな」と口を揃える林さんと大野田さん。
“世界に誇るワインを”という浅井氏の想いは、メーカーそして地元農家の誇りとなって受け継がれています。
メルシャン醸造葡萄生産組合
組合長 林正隆さん(右)、大野田幸彦さん(左)
国際的に高い評価を得ている「桔梗ヶ原メルロー」。その中核となるぶどうを栽培する地元農家の組合で、現在は15名が所属。メルシャンとの協働でワインぶどうの栽培に励んでいます。
唯一無二のワインを造りたい。故郷で叶えるワイナリーの夢
塩尻ワインに衝撃を受け、料理人からドメーヌへ
高校卒業後に上京し、都内で料理人として働いていた稲垣さんがワインに関心を抱いたのは、約12年前。地元のワイナリーでのお手伝いをした時に味わったワインに衝撃を受けたことがはじまりでした。「塩尻ワインといえば、甘くてジュースのようなイメージだったんです。でも久しぶりに飲んだら、品種も増えていて、しっかりとした果実味のあるワインがたくさん誕生していました。こんなおいしいワインが地元でつくれるんだ!と驚きましたね」と稲垣さん。
塩尻駅前でワインバーを営む傍ら、塩尻市が開講する「ワイン大学」に通って栽培や醸造、経営について学び、ワイン特区の制度を活用して今年念願のワイナリーを実家敷地にオープンさせました。
「塩尻といっても広くて、僕が育った地域は標高が850mもあるんです。この土地にあった品種を自分で見つけ、ここでしか造れないワインを世に出すのが目標なんです」と夢は膨らみます。
いにしぇの里葡萄酒
稲垣雅洋さん
故郷の塩尻ワインに魅了され、今夏果実酒醸造免許を取得した新ワイナリーのオーナー。昼はぶどう栽培や醸造を行いながら、ワインバーの「BrasserieのでVin」のオーナーシェフとしてその素晴らしさを広めています。
実際に味わって見つけられる自分好みの塩尻ワイン
40種を超える個性的なワインをお好きな量で飲み比べ
塩尻駅前の「フォンターナ デル ヴィーノ」は、オープン当初より塩尻ワインを40種類以上揃えるカフェ&ワインバー。なんといっても一番の特徴は、グラスでの量り売り。「塩尻市には大小10のワイナリーがあって、栽培されるぶどうの品種も多いので、いろいろなワインを飲み比べして欲しいんです」と店長の野中さん。例えば塩尻を代表する品種“メルロー”でも、地域やワイナリーによって味も香りもかなり違ったものになるといいます。
また、ぜひマリアージュして欲しいというおすすめも。「同じ土地で育ったからなのか、塩尻の野菜とワインは不思議とどれをあわせても相性がいいんです。信州サーモンとピノノワールなど意外とあう組み合わせを見つけるのも楽しいですよ」と教えてくれます。
塩尻駅ロータリーにあってアクセスも良好。自分の好きなワインを見つけてからワイナリーを訪ねてみる、そんな旅もおすすめです。
Fontana del Vino
店長 野中健一さん
横浜出身で塩尻に勤務し約12年。「身近にワイナリーがあるという珍しい土地柄や、野菜のおいしさで塩尻が気に入りました。気候はイタリアのトスカーナに似ているような気がします」と野中さん。
塩尻ワインセミナー「ワイン用ぶどうを実食! ワインと味比べ」
ワイン用ぶどうと、その品種から造られたワイン6種の味を比べられるスペシャルセミナー。講師にはテレビ番組「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫」にもソムリエとして出演中の濱田知佐先生をお迎えします。
【第1部】13:00~14:30
【第2部】15:30~17:00
各3,000円 各24名
問い合わせ先 0263-52-0786(塩尻市地域ブランド推進活動協議会)
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