LANGUAGE

ライフスタイル・オブ・信州ライフスタイル・オブ・信州

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン"

銀座NAGANO発 地域課題解決PROJECT2017

昨年よりスタートした、銀座NAGANOを介して首都圏と信州の方々を結びつけ、新しい視点と発想で地域の未来図を描いてみようという課題解決PROJECT。

今年の舞台は、奥信濃の栄村・秋山郷。平家が落ち延びたという伝説が残り、苗場山と鳥とりかぶと甲山に挟まれた中津川渓谷に集落が点在する、自然豊かで独特な文化が育まれた秘境です。今回の企画に参加したのは9名の女性。秋山郷にどんな魅力を感じ、どんな未来プランを描いたのでしょうか。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

9/26 beforeワークショップ
奥信濃「栄村 秋山郷」の現状を知る

百名山に数えられる苗場山、切明をはじめとする数々の秘湯、感動的な美しさの紅葉、マタギ文化や郷土食などさまざまな魅力を持つ秋山郷。しかし訪者数は減少傾向にあり、観光関連事業者の高齢化や施設の老朽化などの課題に直面しています。銀座NAGANOで事前に秋山郷の現状を共有し、参加者の方々より意気込みを語っていただきました。

※マタギとは…東日本の山岳地帯で集団による特殊な方法を用いて熊などの野生動物の狩猟を行う人々。秋田の阿仁町からやって来た旅マタギが秋山郷のマタギのルーツといわれています。


あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

10/7~8 現地体験・交流ツアー in 栄村 秋山郷
河原に湯が湧く秘湯「切明温泉」へ

秋山郷に到着し、真正面に鳥甲山を望む「のよさの里」で昼食を終えた一行が最初に向かったのは河原や川底から湯が湧く「切明温泉」。

はたから見ると川に浸かっているかのよう。スコップを使って自分専用の湯船をつくることができ、実際に自分専用の湯船を満喫している先客も。「足湯だけで体もポカポカになる!」、「川があったかいってなんだか不思議」など、大自然の温泉を満喫しました。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

80万年の歴史の産物「布岩」&温かみある民宿で楽しむ郷土の味

鳥甲山のトサカのような山容と岸壁は、秋山郷を代表する風景のひとつ。最も大きな岸壁は、長い布を幾重にも垂らしたように見えることから布岩と呼ばれ、紅葉の名所としても人気があるスポットです。すぐ近くの林の中には、かつては至るところに熊を退けるためにつくったという穴の跡が。この地での人と熊との距離感に参加者たちも驚きます。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

夕食はそれぞれの民宿でいただくことに。どの宿にもこだわりがあり、天然きのこや熊肉など、この地ならではの素材を使ったものがたっぷり登場。源泉かけ流しのお風呂があったり築300年という建物を活かしていたりする宿があり、「民宿に初めて泊ったけど、ホテルや旅館とはまた違う温かみある空間に癒されました」という声も聞こえました。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

マタギ話と「のよさ節」に花咲く交流会

地元の方にも参加してもらった交流会。「昔は猟が盛んで、特に熊は高値だったなぁ」というマタギの話に興味津々。さらに地元の民謡“のよさ節”も披露していただくことに。嫁とりや稲作の出来などについての父と息子のやりとりが延々と続く唄で、歌詞の意味は分からなくても、皆がその独特の雰囲気に酔いしれました。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

民俗資料館でマタギのルーツに触れる

秋山郷総合センター“とねんぼ”には昔の住居が再現されているほか、ねこつぐらなどの藁細工や、シナノ木の樹皮の繊維で織られた編あんぎん布などの展示も多数。この秘境の地で人々がどんな暮らしをしていたのか、どんな歴史を辿ってきたのか、秋田からやってきた旅マタギがどうしてこの地で暮らすようになったのかなどを改めて学びました。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

秋山郷の冬仕事「藁ない体験」&苗場山の麓の民宿で郷土の味「早そば」を体験

秋山郷での冬仕事 “藁ない(藁細工づくり)”を地元のおじいちゃんを講師に迎えて体験。コツがつかめず最初は四苦八苦しましたが、だんだんと縄らしい形になってくると「しめ縄がつくれるかも」「ねこつぐらもここから出来るんだ」などの感想も。皆が初めてという体験を楽しみました。

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

歴史ある苗場荘では秋山郷を代表する郷土食の早そばを体験。簡単に言うなら細切り大根を入れた緩めのそばがきで、温かいつゆをかけ、きのこや紅生姜などをトッピングしていただきます。「大根が入った独特の食感も絶妙」「ついつい食べすぎちゃいますね」と首都圏からの参加者にも大好評。


10/31 afterワークショップ in 銀座NAGANO

企画の一旦の締めとなるのは参加者によるプレゼンテーション。それぞれの視点から秋山郷の現状見て、考えていただいた「未来プラン」の一部をご紹介します。

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    来る人迎える人、両方にしあわせな時間を

    宿泊した雄山荘の料理がとてもおいしく、一緒に山菜を取りに行って、料理を教えて欲しいと思った。他の宿もとても個性的なので、1日ごと宿を変えて色々な体験ができるツアーがあったら面白いと思う。藁ないを教えてくれた93歳のおじいちゃんもとても喜んでいたと聞いた。こんな風に、喜んで手伝ってくれる人は他にも沢山いるはずなので、来る人迎える人、両方にとってしあわせな時間が過ごせる体験プログラムがつくれるはずだと思う。(田中淑江さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    山村留学で秋山郷のよさを伝承

    自然が豊かで、山村留学に良い場所だなと感じたが、学校は分校になってしまい教員も少ない。でも、藁ない、早そば、マタギなどの伝統を受け継いでいる“先生”たちはたくさんいる。秋山郷の農家や民宿での体験は子どもにとってかけがいの無いものになれば、故郷のない都会の子どもたちの帰る場所になれると思う。自分の経験や知恵を人に伝え教えることは、村人が活躍できるだけでなく、この土地のよさを残していくことになるのではないだろうか。(西村 幹子さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    秋山郷の魅力、振れ幅の大きい「対比」

    秋山郷で浮かんだのが「対比」というワード。高低差が織りなす景色、冷たい川に湧く温泉などがとても面白かった。特に印象的なのがマタギで、「生と死」という究極の対比の世界。先住民との混ざり合いも、いろんなものを生んだと思う。例えばマタギと同じ格好をして一緒に山に入り、最後は温泉とおいしい食事をいただくツアーはどうだろう。生きているって素晴らしいと思える体験になるだけでなく、この伝統を後世に伝えていくことにもなると思う。(井上麻衣さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    秋山郷のよさを受け継ぐために

    住民と観光客が一緒に村のよさを継いでいく仕組みがつくれないかと考えた。秋山郷は、「人と触れ合いたい」「自然に癒されたい」そんな都会の人々にあるニーズを満たせる場所だと思う。でも単純にお客様として来てもらうのではなく、畑仕事でも山仕事でも藁ないでも、何か役割を担ってもらう。その代わり地元では、十分に満足してもらえるレベルの「健康」や「癒し」などの体験やおもてなしを提供する。このような形で交流の輪を広げていけると思う。(川畑聖子さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    クラウドファンディングを活用

    クラウドファンディングなら秋山郷は関心のない人にも目を向けてもらえるきっかけをつくれるのでは。都会に住みにくい人たちの居場所を提供してあげる、そんなスタートでも良いかもしれない。(米田由美子さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    マタギ体験ツアーを開催

    マタギの猟が理論や経験に基づく戦術により行われていることを知り、とても価値あるものだと感じた。実際に体験ツアーをつくり村の人にも携わってもらえば、マタギ文化の再認識にもなる。難しい部分はARやVRなどを活用するのも方法だと思う。(開登野美さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    銀座NAGANOを使ってもっとイベントを。(城石陽子さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    早そばをフックに秋山郷をPRしては。(吉田一美さん)

  • あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

    インスタ映えする場所もたくさんある。(菅根真実さん)

あなたと創る栄村秋山郷の未来プラン

新しい交流から創られる、秋山郷の未来

「パンフレットを見て個人的に秋山郷に来て、同じ景色や同じ料理を味わったとしても、こんなに素敵な場所だと感じなかったと思う」意見交換でこんな声が聞かれました。秋山郷には、隔離された場所だからこそ、守り受け継がれたもの、都市では消えてしまったものが数多く残ります。

いつもなら“よくあるもの”と感じてしまうものでも、地元のさまざまな人との交流を通じ、どんな背景や想いがあるのかを共有したからこそ、全く異なる感じ方や見え方になったのではないでしょうか。遠くからやってきたマタギを温かく迎え入れ共生してきたように、新しい交流がこれからの秋山郷の未来を創っていくのかもしれません。

Lifestyle of Shinshu