生誕の地、松本で出会う 草間彌生のめくるめく世界2018.04.20
国宝松本城のお膝元に広がる文化と歴史が薫る城下町・松本市の市制施行110周年と松本市美術館開館15周年を記念し、いま街をあげて開催されているのが「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」です。
生誕の地である松本市ならではのオリジナルの単館開催が実現。展示作品は過去最大数の約180点を数え、松本の街全体が草間彌生に染まります。
街中にあふれ増殖する草間彌生の愛のかたち
街が一体となってつくりあげる松本らしさあふれる企画展
89年前の1929年、松本市の種苗業を営む家で生を受けた草間彌生さん。今でこそ前衛芸術家としてその名を世界に轟かせていますが、幼少期から幻覚や幻聴に悩み、それから逃れるために描くことをはじめたのが原点のひとつでした。
「草間さんは世代や国を超えて人気があり、若い人たちからはカワイイ!と親しまれていますが、現在の成功の影には非常に苦労した時代がありました。今から数十年前、ここ松本からひとりの女性が果敢に世界に飛び出した道のりを、ふるさとの地で感じてもらいたいですね」と小川館長。
また今回の企画展は、街全体が展示場という松本らしい計らいも。「芸術は好みが分かれやすい世界ですが、草間作品は非常に多くの人を惹きつける不思議な魅力がある。だからこんなに多くの方々が手を組んでくれるのだと思います」と話すように松本の街中に水玉が増殖し草間ワールドが広がっています。
松本市美術館
館長 小川稔さん
個人的には幼少期の作品が印象的という小川館長。「松本の空気や自然の中で作品を見ればまた違った感覚が得られるはず。草間さんの歩いた川辺や街を追体験して、少女時代の彼女を想像する楽しみ方もしてほしいですね」と語ります。
作品の中に入る、体験型の展示
今回の展示で重視されたのが、作品の中に入って体験できるインスタレーション。鏡を使って無数に広がる空間に自分も入り込む不思議な世界や、暗いところから幻想的なイメージが重なる神秘的な光景などを体感できます。
※写真提供:草間彌生展実行委員会
ミラールームに入ると草間作品の代表的なモチーフである「黄色いかぼちゃ」が無限にひしめき合う不思議な世界に入り込めます。日本初公開。
真っ赤な通路の両脇には赤と白の水玉のソフト・スカルプチャーがびっしり並び、鏡によって無限に増殖。圧倒的な世界観を体感できます。
真っ暗な部屋の中で無数の水玉が光る、草間さんの幻覚を体験するような作品。入った瞬間、家具などの輪郭がわからなくなるような感覚に。
第1会場に入ると、モザイクタイルによる《命》から展示がスタート。一瞬にして草間作品の世界に惹き込まれるような空間が広がります。
草間彌生さんと一緒に撮影できるフォトスポットも人気!同じポーズで撮影してSNSにアップしてみては。
草間ワールドに彩られた松本の街へ
草間さん生誕の地である松本の街を散策すれば、美術館以外のさまざまな場所で草間作品に出会うことができます。さらに今回は、JR松本駅やショッピングモールなど市内各所に作品が展示されるほか、ユニークな展覧会開催記念メニューも登場。草間ワールドに彩られた松本を存分に楽しんでみませんか。
※写真提供:草間彌生展実行委員会
- 草間彌生×周遊バス タウンスニーカー「水玉乱舞」号2010年から運行され、市民からは「水玉バス」と親しまれている周遊バス。フロントガラス下の水玉には直筆のサインも。また後方に写る「松本PARCO 駅前看板」にも注目です。
- JR 松本駅《水玉強迫》改札を出てお城口に向かったら、バス乗り場やタクシー乗り場のルーフ裏側に注目!松本駅を出た瞬間から、草間ワールドが炸裂し、いたるところに水玉が出現。ここから運よく水玉バスに乗車できたら、ラッキーなことがあるかもしれません。
- 水玉フラッグ企画展の開催期間中は、松本駅から松本市美術館をつなぐ駅前大通りをはじめ、伊勢町通りや本町通りなど、街中の通りに鮮やかな水玉フラッグが掲げられ、草間彌生一色に。草間作品への愛情があふれる松本市を感じられるひとつともいえます。
- イオンモール松本
《宇宙に届け、水玉かぼちゃ》松本市美術館から徒歩5分ほどで行ける「イオンモール松本・空庭(ソラニワ)」の一角にも、草間作品が出現。メタリックな質感の水玉かぼちゃが不思議な空間を生み出しています。 - ホテルブエナビスタ
《命》松本駅から徒歩約7分のホテルのエントランスホールに展示されている作品。キラキラした輝きとニョキニョキと今にも動き出しそうな躍動感であふれ、間近で見るとパワーを感じます。 - 展覧会開催記念メニュー松本市内の3施設「5HORN松本パルコ店」「ビストロサンチーム(松本市美術館併設)」「ホテルブエナビスタ」では草間作品をイメージした開催記念メニューが登場。思わず写真を撮りたくなるような“インスタ映えメニュー”をぜひ。