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ただいま狩猟解禁中 冬の食の新定番「信州ジビエ」いただきます

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貴族の食文化としてヨーロッパで発展したジビエ。長野県でも古くより貴重なタンパク源として、鹿、猪、熊、雉などの肉が食されていて、近年では、環境や農業などの被害の深刻化を受け、食材としてのジビエが改めて見なおされています。狩猟解禁期間(11月15日〜2月15日)のジビエのおいしい季節にあわせ、信州ジビエフェアも開催中。たっぷり冬の新定番をお楽しみください。

自ら猟をして見えてきた奥深いジビエの魅力

渡辺将司さん

kuland②(クランド)
渡辺 将司さん・陽介さん(長野市)

本場ヨーロッパの味を学んだ兄弟が腕を振るうフレンチ&イタリアン料理店kuland②。手の込んだ料理が評判で、ジビエ料理も看板メニューのひとつです。フレンチのシェフである兄の将司さんのもうひとつの顔がハンター。もっとジビエの生産=狩猟の現場を知りたいと3年前に狩猟免許を取得しました。
「猟を始めたのは、素材と深く向き合うことでよりおいしいジビエ料理を提供できると思ったから。同時に命の大切さをより感じるようになり、骨やスジからも出汁をとってフレンチの要である濃厚なソースにするなど、すべてを大切に使っています」

野生鳥獣の肉は個体差も大きく、毎回どうすれば一番おいしく食べられるかを考えなければならないのも、難しさであり楽しさでもあると言います。また、猟を通じて地元農家と知り合ったり、山の中の様子を見たりして、野生鳥獣による農作物や森林被害の深刻さを痛感したそう。

渡辺将司さん・陽介さん

「長野県にも冬にジビエを食べる文化が浸透してきている今だからこそ、皆にとってよい環境をつくるためにも、僕ら飲食店がおいしいジビエ料理を提供しなきゃという思いがより強くなりました」
ジビエの魅力を広めるためにも狩猟時期や部位、雄雌などで異なる肉の旨みやおいしい食べ方を伝えるなど、その下地をつくっていきたいと語ります。
「まだジビエ料理は高額なものが多いですが、自分で獲った食材なら手頃な価格で提供でき、より多くの人に食べてもらえます。だからもっと猟師としての腕も磨かないといけないですね」
こう笑う将司さんの笑顔にはジビエを提供する飲食店としての気概が感じられました。

店外観、店内

猟師になって以来、店で提供する野生の鳥料理については、すべて自分で獲ったものを提供しているそう。青色の外観が印象的な店構えは将司さんが一目惚れしたフランスのレストランをイメージ。店内ではオープンキッチンで手際よく調理するふたりの様子を見ることができます。

信州産猪のラグー

現在開催中の「信州ジビエフェア」では陽介さんが作るイタリアン「信州産猪のラグー(1,600円)」を提供。ブカティーニという筒状の太麺パスタに猪肉を使った力強い猪と赤ワインの煮込みソースが詰まったインパクトのある一品。ハーブにより、肉の香りと旨味が引き出されています。猪の分厚い脂は避けられがちですが、驚くほどさっぱりしているそうで、そうしたおいしさも伝えていきたいと言います。

[kuland②(クランド)]
長野市上千歳町1155-2 ハヤシビル1F TEL 026-219-3681
http://kulando.jugem.jp/


けものの命に感謝して。肉も皮も余すところなく活用

井野春香さん

けもかわプロジェクト
井野 春香さん(泰阜村)

ジビエの安全性について一定のガイドラインが定められ、各地でジビエ加工施設が整ってきている長野県。「信州ジビエ」の流通量も注目度も格段に高まっています。でも、肉を削いだ後の鹿の皮ってどうなるの? 革として使えるのでは? そんな思いから生まれたのが「けもかわプロジェクト」です。代表の井野春香さんは熊本県で生まれ育ち、高校・大学と畜産や森林環境を学ぶ中で猟師と出会い、野生動物をより身近に感じるようになりました。そして、猟師と関わりながら子どもたちに自然体験を提供する南信州の山村、泰阜村(やすおかむら)のNPO法人に就職。仕事を通じ「もっと地域に根ざし、猟や鹿に携わる仕事をしたい」と思い目をつけたのが、鹿の皮の活用でした。
「皆が捨ててしまう皮を活用すれば、より鹿の命を大切にでき、地域にも役立てるのでは」
こうして2012年に鹿の皮を使ってクラフト製品を作るプロジェクトを立ち上げたのです。

今は自らハンターとして狩猟もしつつ、捕獲した鹿を解体し、加工業者でなめした革を使って革細工を制作するほか、革職人に依頼し、バッグや靴などの製品にもしています。きめ細かくて柔らかく、吸水性も高い鹿皮の特徴を生かした製品は、温かみとかわいらしさが魅力。近年はジビエブームの後押しもあって鹿皮を扱う業者も増え、少しずつハンターと業者のつながりも生まれているそう。村でも井野さんの働きかけにより、2017年にジビエ加工施設が誕生しました。加工業者への依頼にはまとまった量の皮の確保や下処理の手間、価格面など課題もありますが、皮を有効活用しやすい環境は整ってきているそうです。
皮も肉も余すところなく利用できるジビエ。食べるだけじゃなく使う楽しみも味わってみませんか。

井野春香さんと夏の子

昨年からは猟犬として希少種の甲斐犬・夏の子(かのこ)を飼い始め、山を一緒に歩いたり野生鳥獣の肉の味を覚えさせたりと少しずつ猟の訓練をしているという井野さん。犬に鹿肉や鹿の角の粉末を与えると毛艶がよくなり元気になるとも言われているそうで、井野さんは猟犬が身近になったことで今後、ペット用商品の加工など犬と絡めた製品開発も考えているとか。

革製品

「けもかわ」とは、けもの・かわいい・皮革の意味が込められた造語。鹿皮を業者でなめすには、肉片を削ぎ、塩を塗る等の下処理が必要で、猟師の作業が増えるという課題もありますが、井野さんは少しずつ有効活用の仕組みを整えています。

[けもかわプロジェクト]
長野県下伊那郡泰阜村平島田 TEL 090-3210-0305
https://kemokawa.wixsite.com/home


安心・安全・高品質なジビエを供給!

長野市に県下最大規模のジビエ加工施設が誕生

長野市では野生鳥獣による農作物被害対策の一環として、捕獲した猪や鹿の受入から解体、熟成、パック詰めや冷凍保存までの一連の加工処理及び、在庫・販売管理を一貫して行う「長野市ジビエ加工センター」を2019年4月に開設。1頭ごとに詳細な記録と健康チェックを実施して個体識別番号を付与する「ジビエ商品管理システム」を導入し、食品トレーサビリティーにより安全・安心なジビエの安定供給を図っています。

長野市中条住良木1558-2 TEL 026-224-8470(長野市農林部いのしか対策課)

長野市ジビエ加工センター
ただいま開催中 「信州ビジエフェア」! 東京でも楽しめます

今シーズンも2月15日まで「信州ジビエフェア」を開催中! 長野県内約80店舗のレストラン、居酒屋、ホテル・旅館などが自慢のジビエ料理を提供しているだけでなく、なんと東京の名店もフェアに参加しているんです。「信州ジビエ」を堪能できる絶好のチャンスをお見逃しなく。


Les enfants gâtés(レザンファンギャテ)

スペシャリテのテリーヌで信州ジビエの魅力を凝縮

代官山の裏路地に佇むフランス料理店。さまざまな食材の組み合わせによる華やかで繊細な味わいのテリーヌをスペシャリテ(看板料理)に掲げ、13年連続、ミシュランの一ツ星を獲得しています。「信州ジビエフェア」では「信州鹿とフォアグラのテリーヌ(3,300円)」を提供。あっさりとした信州産の鹿肉を燻製にすることで存在感を出し、さらに真空パックにした後、低温で火を入れ、ドライフルーツやナッツを加えてテリーヌにすることで食感にリズムを出しています。また、肉汁はコンソメにし、美しくカットしたテリーヌの表面に塗ることで鹿の旨味がよりしっかり感じられる味わいに仕立てています。

東京都渋谷区猿楽町2-3 TEL 03-3476-2929
http://terrine-gates.com

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A ta gueule Orient-Express(アタゴール)

繊細な調理法で上質な素材を存分に生かすジビエ料理の数々

大使館の公邸料理人や日本人唯一のオリエント急行シェフなどの経歴を誇るオーナーシェフが手がけ、豪華寝台列車の車両を使用した他に類を見ない正統派フレンチレストラン。列車内や駅舎を模した店内ではオリエント急行のエッセンスが加わった独創的なフレンチを楽しめます。信州ジビエを使った「下諏訪産日本鹿内もも肉の岩塩包み焼(4,950円)」は、長年信頼のおける下諏訪町の猟師から仕入れた繊細な味わいの上質な日本鹿の中でも最も柔らかい部位である内もも肉を使用。香りを逃さないよう岩塩を入れたメレンゲで包み、じっくりと焼く繊細な調理法で素材の魅力を生かしています。ほかにも国内外から旬のジビエを仕入れ、特に狩猟期は豊富な種類のジビエを多彩なスタイルで提供しています。

東京都江東区木場3-19-8 TEL 03-5809-9799
http://www.atagueule.com

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海山和酒 なるたか

信州から直送した上質な鹿肉を丁寧に調理し、リーズナブルに提供

松本市出身の店主が信州食材にこだわり、さまざまな山の幸や郷土料理を堪能できる居酒屋。鹿肉は確かな加工技術をもつ伊那谷のジビエ加工施設から仕入れ、居酒屋ならではの手頃な価格帯で提供しています。看板メニューのひとつ「鹿肉のロースト(990円)」は臭みがなくて食べやすく、赤身肉の味わいがしっかり感じられる内もも肉を使用。低温調理で柔らかく仕上げています。「鹿肉のコロッケ(330円)」はスジ肉を圧力鍋で柔らかくして醤油ベースの甘辛のしぐれ煮にし、潰したジャガイモで包んだ手間ひまかけた一品です。ほかに信州の地酒は常時20種類ほど。クラフトビールやワイン、焼酎、ウイスキーも信州産が揃います。

東京都文京区本郷1-15-2 三澤ビル1F TEL 03-5844-6775
https://narutaka.gorp.jp/

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信州ジビエフェア2019-2020について詳しくはこちら

この記事は2020年1月時点の情報です。
取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください。

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