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どんどんうま味があふれ出す!長野の地鶏がおいしい理由

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心地よい噛みごたえとあふれるうま味が魅力の「地鶏」。日本農林規格(JAS)で厳しい基準が設けられており、地鶏の流通量は鶏肉全体の1%にも満たないというプレミアもの。地鶏といえば、「名古屋コーチン」、「比内地鶏」などが有名ですが、実は長野県でも全国的な地鶏コンテストで賞を受賞するようなおいしい地鶏が飼育されているんです。
今回は山々に囲まれた長野県の恵まれた自然環境のもと、愛情を込めて最高峰の地鶏を育てる生産者さんを訪ねました。

歯ごたえ、うま味、風味の三拍子そろった信州黄金シャモ

信州黄金シャモ

普段私たちが目にする市販の鶏肉の多くはブロイラーと称する食肉専用の品種。エサや飼育数などの経済性を重視して品種改良されたもので、50日程度の飼育で出荷できるなど、効率性や生産性を追求して誕生しました。
一方、ブロイラーが主流の現在も、昔ながらの噛みごたえのある地鶏肉を求める声が数多くあったことから、長野県畜産試験場が約4年の歳月をかけて2004年に開発したのが「信州黄金シャモ」です。父鶏には締まった肉質と食味に定評のある「シャモ」、母鶏にはコクのある味わいが特徴の「名古屋種(名古屋コーチンなど)」をかけ合わせた「歯ごたえ、うま味、風味」の三拍子そろった地鶏で、その味は、「2015食肉産業展第11回銘柄鶏・地鶏食味コンテスト」の歴代チャンピオン10銘柄が雌雄を決したグランドチャンピオン大会で最優秀賞に輝くほど。

品質の安定したものを供給するために信州黄金シャモを飼育する統一基準も定められています。120日間以上の平飼いが基本で、これは地鶏JAS規格の1.5倍、ブロイラーの約3倍です。また、飼育密度も1㎡当たり5羽以下と地鶏JAS規格の半分。さらに他種類の鶏と一緒に飼育することも禁止されており、与えるエサも細かく基準が定められるなど、これらの厳しい条件を県内農家が厳守して飼育しています。2009年にはさらなる品質向上や販路拡大に向け、生産者や流通業者により「信州黄金シャモ振興協議会」が設立され、全国へと流通しています。

おいしさに惚れ込み、飼育を開始

佐々木さんと妻の記子さん
佐々木さんと妻の記子さん。鶏舎は隣町の阿南町にあり、砂を使って食物をすり潰す鶏のために、川砂を洗浄して与えるこだわりぶり。

地どり屋コッコ(飯田市)
佐々木 由幸さん

現在、県内には14軒の養鶏農家が信州黄金シャモを飼育していますが、自ら飼育した信州黄金シャモを自営の居酒屋「喜楽」で提供するほか、商談会や地域の祭りなどにも参加して積極的にPRを行っているのが、飯田市の「地どり屋コッコ」佐々木由幸さんです。

佐々木さんの一番のこだわりは、エサに2%ほどの乳酸菌を混ぜて与えること。整腸作用が促進されることで大きく健康体になるのだとか。さらなるこだわりが、雨水が侵入しないよう土台に石積みをして周囲の地面より高くした鶏舎の建物です。衛生管理も徹底し、出荷後は鶏舎内を全て水洗いし、土を殺菌消毒して敷料(木材チップ)を交換。また、鶏舎が明るいと鶏は興奮するため、遮光してうす暗くすることで、鶏同士が穏やかに過ごせるよう配慮もしています。高い飼育技術から2017年度には養鶏部門では二人目、信州黄金シャモでは初となる「信州食肉マイスター」に認定されています。

居酒屋「喜楽」の焼き鳥
(左)「地どり屋コッコ」の信州黄金シャモを使った居酒屋「喜楽」の焼き鳥。鮮度抜群なため火を通しすぎないことがポイント。
(右)昨年から「喜楽」の切り盛りは次男が引き継ぎ、佐々木さんは飼育に専念。

こうして飼育される信州黄金シャモの味わいは、どこにも負けないと話す佐々木さん。
「噛めば噛むほどうま味が出て歯ごたえもあり、とにかくうまい。日本中探しても、この鶏に勝てる地鶏はいないと思います」
とはいえ、名古屋コーチンなどのブランド鶏に比べ、まだまだ認知度が低いことから、佐々木さんはさらなる知名度向上を目指し、これからも積極的に情報発信を続けていきたいと語ります。

[地どり屋コッコ]
飯田市大瀬木214-2 TEL 0265-25-4164
http://www.jidoriyacocco.com/

県内一の出荷量と一貫生産で即日出荷

栁澤祐一さん
「ストレスのない飼育環境をつくることは飼育者の責務」と話す栁澤さん。

とや原ファーム(東御市)
栁澤 祐一さん

「信州黄金シャモは日本三大地鶏に比べて生産量も少なく知名度も低いので、とにかくおいしさを多くの人に感じていただき、“その他大勢”の地鶏からズバ抜けたい」と話すのが、県内一の出荷量を誇る東御市の「とや原ファーム」代表・栁澤祐一さんです。同法人は2017年創業と後発ですが、栁澤さんは県内外で25年ほど食鳥業界に携わってきたベテラン。故郷の東御市から地鶏の六次産業化にあたって声をかけられ、信州黄金シャモの育成から加工、販売までを一貫して行う県下唯一の事業を開始しました。

鶏舎
御牧原に建つ「とや原ファーム」の鶏舎。

鶏舎があるのは、東御市でも自然豊かな御牧原(みまきはら)という台地。法人名の「とや原」はこの地の旧名で、鳥屋(とや)=鳥の住むところという意味もあるほど鳥たちの生育に適した環境です。ゆったりした環境の中、空調が適切に保たれた計8棟の鶏舎で鶏のストレス軽減に努めた飼育に取り組んでいます。認定小規模食鳥処理場も鶏舎のすぐ近くにあり、注文が入ると、その日のうちに加工して出荷。現在は毎日30羽ほどを出荷しています。

鶏舎
(左)ヒナの鶏舎。飼料も鶏がより健康的に育つよう、生菌剤やビタミン剤を加えたりと研究中。
(右)トータルでの商品力に注力。贈答用のベーコン(胸肉/モモ肉)も開発。

「県内でコンスタントに冷蔵出荷できるのは私たちだけの強みです。とにかく味がいい。特に肝などの内臓が素晴らしいと評価をいただくのは、鮮度のよさもあるからでしょう」
こう話す栁澤さんは現在、長期飼育も研究中。通常は120日ほどで出荷するメスを200日ほどかけて飼育することで、味が濃くなって甘みも強くなるのだとか。サンプル出荷の反応も上々だそうです。
自然の恵みをたっぷり受けて育ち、長野県の地鶏を代表する信州黄金シャモ。自慢の味からは生産者たちの意気込みも感じられます。

[農事組合法人 とや原ファーム]
東御市御牧原2598 TEL 0268-75-0150
https://toyahara-farm.jp/

INFORMATION

「信州黄金シャモベーコン」を銀座NAGANOで限定販売予定!
ちょっと贅沢したい日のワインのお供や大切な方へのお歳暮にいかがでしょうか?


ジューシーな食感の唯一無二の「真田丸」(しなの鶏)

大沢重夫さん
2010年に食肉産業展に「真田丸」を出展し、実行委員長賞を受賞した大沢さん。

オオサワ農園(上田市)
大沢 重夫さん

長野県の地鶏は信州黄金シャモだけではありません。2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」の舞台としても人気を博した上田市で生産されている地鶏が、その名もずばり「真田丸」。長野県畜産試験場がシャモと白色プリマスロック(ブロイラー)をかけ合わせて開発した「しなの鶏」を、「真田丸」として生産しているのは、2004年から飼育を手がけ、2007年に商標登録をした「オオサワ農園」大沢重夫さんのみです。

大沢さんは市内でギフトショップを営みつつ、平飼いの鶏卵を販売していました。面倒見がよいことから地域とのつながりも深く、JA信州うえだ・上田商工会議所等により発足された地鶏研究会からの働きかけによって「真田丸」を飼い始めたそう。

「真田丸」(しなの鶏)

「昔はどの家も鶏を飼っていて、卵を産まなくなった鶏を食べていたんですが、それがおいしくて。その味が忘れられずに採卵用の鶏を飼育していたら、商工会議所の知り合いから『大沢さん、地鶏を飼ってくれないか』と声をかけられたんです。どこにきっかけがあるかわからないものですね」
信州黄金シャモと同様にじっくりのびのびと育てられる真田丸。120日から140日平飼いし、1㎡あたりの飼育密度は5羽以下で、メスはオスよりやや長く150日飼育しています。エサは地鶏専用のものに籾付きの米を20%混合することで肉質をさらに柔らかくし、近所の個人スーパーから譲り受けるキャベツ等も与えます。

鶏舎
オオサワ農園の鶏舎のある塩田平は「信州の鎌倉」とも呼ばれ、由緒ある寺社仏閣が多数残る。

鶏舎は自然豊かな塩田平にある独鈷山の麓の全5棟。健康な鶏の飼育にはゆったりとした鶏舎と新鮮な水の確保が重要なことから、広々とした鶏舎に水を流しっ放しにするシステムを作ることで、常に新しい水を供給しています。また、出荷のたびに清掃し、鶏舎には発酵しないカンナ屑を敷き詰めることで鶏糞等の匂いが気になりづらいそう。神経質で警戒心が強い鶏ですが、大沢さんの鶏舎では広い空間でのびのびと育つ姿が印象的です。なお、大沢さんは信州黄金シャモも飼育していますが、真田丸のほうが気質が穏やかで、肉質もしっとりと柔らかいそう。

地鶏独特の食感とジューシーさが特徴の真田丸。信州黄金シャモよりもほどよい脂があるので、時間が経っても肉質が変わらず料理のおいしさを損なわないことから、高級ホテルや旅館、レストランでも多く利用されています。ブロイラーとは格段に異なる皮の厚みと旨味を楽しんでみませんか。

加工品と真田丸地鶏つけ麺

自営の「真田丸販売所」では精肉のほか、手羽元、手羽先の燻製など加工品も販売。(写真左)
上田市内のさまざまな飲食店で真田丸をメニュー化。「大衆食堂 夢の家」では、焼肉と「真田丸地鶏つけ麺」を提供。(写真右)

[オオサワ農園(ギフトショップオオサワ)]
上田市本郷755-7 TEL 0268-38-4506


いろいろあります、信州の地鶏・銘柄鶏

❶ 信州黄金シャモ

羽色と料理の焼き色が黄金に輝くことから、2005年に料理研究家の服部幸應氏が命名し、県のオリジナルブランドとして商標登録された「信州黄金シャモ」。シャモと名古屋種の肉質のよさを備えた食感、ジュワッと肉汁があふれるうま味、そのうえ脂肪量が少なくヘルシーで後味もさっぱりとしています。

信州黄金シャモ

❷ しなの鶏

シャモを父親、白色プリマスロックを母親として長野県畜産試験場で開発。飼いやすく強健性に富み、「真田丸」「信濃地鶏」「遠山地鶏」「南信州地どり」など、各地の特産鶏として生産されています。

しなの鶏

❸ 信州ぎたろう軍鶏

アルプスや天竜川によってできた河岸段丘に囲まれた辰野町で、地下300mから汲み上げた水と厳選された飼料により、約140日間放し飼いされた軍鶏。先代から30年近く軍鶏の生産に取り組んできた「林種鶏場」のオリジナル品種で、あのグルメ漫画の名作「美味しんぼ」にも登場。

信州ぎたろう軍鶏

❹ 信州ハーブ鶏[銘柄鶏]

出荷40日ほど前から飼料にオレガノ・ジンジャーなどの天然ハーブやビタミンEを配合して飼育。ハーブにより脂肪の酸化を抑えることで鶏肉の独特の臭みを緩和し、くせのない身質と自然な鶏肉のうま味が生み出されています。


❺ 信州福味鶏 [銘柄鶏]

栄養価の高いモロコシの一種マイロを主とした飼料に天然の糖を投入することで脂質の酸化も防ぎ、鶏肉特有の匂いも抑制された長野県農協直販㈱のオリジナルブランド鶏。県内約15農場で飼育されており、肉質が柔らかく、低脂質、高タンパクが特徴


銀座NAGANOで買える!鶏関連商品

クリスマスや誕生日などのパーティーの一品にもおすすめです。

[ しなの木ハウス(千曲市) ]

  • 信州黄金シャモ砂肝スモーク

    信州黄金シャモ 砂肝スモーク
    40g 500円

    噛むほどに湧き上がるコクのあるうま味とすっきりした後味。ブロイラーなどでは味わえないワンランク上の味わいです。

  • 信州黄金シャモ モモスモークスライス

    信州黄金シャモ モモスモークスライス
    45g 579円

    手切りスライス後にもう一度スモークをかけるWスモークで、より自然なうま味とコクを引き出した贅沢な味わいです。

  • 信州黄金シャモ味噌スモーク

    信州黄金シャモ 味噌スモーク
    50g 600円

    信州の味噌・酒粕で熟成させ、地鶏のうま味とコクを引き立てた、無添加スモーク。紅玉果汁を使って甘みを付けました。

  • 信州ハーブ鶏りんご燻し

    信州ハーブ鶏 りんご燻し
    120g 420円

    赤ワインと信州産のりんご果汁でじっくりマリネし、りんごチップで丹念にスモークしました。胸肉とは思えないしっとりとした食感。


[ 本郷鶏肉(松本市) ]

山賊焼

山賊焼
2枚入 699円

信州松本平で人気の郷土食「山賊焼」。伝承されたニンニクたれに漬け込んだ国産鶏肉を、1枚1枚丁寧に手揚げしています。


[ 侍学園スクオーラ・今人(上田市) ]

信州上田産にんにくを使った美味だれ

信州上田産にんにくを使った美味だれ
120ml 479円

上田市のご当地グルメ「美味だれ(おいだれ)焼き鳥」のタレは、上田市産のニンニクを100%使用し、焼き鳥のほか肉野菜炒めやサラダとも好相性。

この記事は2020年11月時点の情報です。
取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください。

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