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七年に一度の天下の大祭~御柱祭を支える諏訪人たち

信州の誇る発酵文化、味噌信州諏訪の「御柱祭」は、天下の大祭ともいわれ、信州そして日本の誇る祭りのひとつ。

木落しや建たて御柱など勇壮な男たちの祭りというイメージがありますが、古来よりそのまわりを女性が支え、若者や子どもたちがその伝統を継承してきました。

七年に一度の祭りにかける諏訪地方6市町村の氏子たちの熱き想いに触れてみましょう。

御柱祭を支える諏訪人たち

これぞ諏訪の心意気
諏訪地域21万人がつくる大祭

諏訪大社は、諏訪湖の南北に鎮座する上社(本宮・前宮)と下社(春宮・秋宮)二社四宮の総称。
全国に一万余ある諏訪神社の総本社であり、日本で最も古い神社のひとつとされています。

御柱祭を支える諏訪人たち

この諏訪大社で七年に一度、寅と申の年に行われる神事が、通称「御柱祭」と呼ばれる「式しきねんぞうえいみはしらたいさい年造営御柱大祭」で、長野県無形民俗文化財にも指定されています。

直径1m、高さ17m、重さ10t もの樅もみの巨木16本を山から切り出し、山から里、そして各四宮まで人力だけで曳き、境内の四隅に建てるというもの。大木が土煙をあげて急坂を下る「木落し」や、クライマックスの「建御柱」など豪快で神聖な様子は、息をのむ迫力。

御柱祭を支える諏訪人たち

一転して里曳きでは、騎馬行列や花笠踊りなどが登場し華やかな雰囲気に包まれ、老若男女の氏子が一体となって祭りを盛り上げます。総勢21万人が総力を挙げる天下の大祭はいよいよ今春。現地で、諏訪人の誇りと熱気を体感してみてください。

平成28年行事日程
【上社】
山出し 4/2(土)・3(日)・4(月)
里曳き 5/3(火)・4(水)・5(木)
宝殿遷座祭 6/15(水)
【下社】
山出し 4/8(金)・9(土)・10(日)
宝殿遷座祭 5/13(金)
里曳き 5/14(土)・15(日)・16(月)


御柱祭を支える諏訪人たち

振る舞いで氏子を支えるこれぞ女の御柱祭
こだわり料理が並ぶ御柱街道の家々

山出しの2日目と3日目、御柱を曳く氏子に劣らず大忙しなのが、御柱街道に住む女性たち。

柱が通る街道沿いの家では、御柱を曳く親戚や知人などの氏子たちに「御柱料理」を振る舞うのが古くからの風習で、1日100人以上の氏子が訪れる家もあるのだとか。大人数分をつくるだけでも大変なのに、料理やもてなしには愛情がたっぷりです。

御柱祭を支える諏訪人たち

「山出しの頃はまだ結構寒いんです。だから豚汁やおでんなど温かいものを必ず作りますね」と勝子さん。外で作る大鍋料理は大好評だそうです。

御柱祭を支える諏訪人たち

「うちでは曳行の様子が見やすいよう2階で料理を振る舞うんです。運ぶのも一苦労なんですけど、高い所からの御柱も見て欲しくてね」とツギ子さん。どの家でも諏訪地方の名物である寒天やワカサギなどの料理は欠かせない定番だといいます。

「美味しい料理で氏子を支える、これが女の御柱祭なんです」という嘉代子さんの声には御柱祭を想う女性陣の心意気が溢れています。

御柱祭を支える諏訪人たち五味 勝子さん(写真右)、浜 嘉代子さん(写真中)、五味 ツギ子さん(写真左)(茅野市)

御柱が自宅の前を通るという御柱街道に住む奥さんたち。
「当日はとにかく大変だけど、仕方がないわよね」と微笑む表情の奥に祭りを支える女性陣の偉大さを感じます。


御柱祭を支える諏訪人たち

木遣りの鳴き声で氏子たちの心をひとつに
譜面のない木遣りの世界、自分なりの節まわしを求めて

人の力だけで巨木を山から里へ曳く御柱祭。氏子たちの心をひとつにし、木を曳く合図を出すのが木遣りの役目です。

だからこそ諏訪地方では木遣りにかける想いは熱く、名人が保育園に来て教えてくれるといった行事もあるのだとか。それがきっかけで木遣りをはじめたのが伊藤さん姉妹。2人とも木遣りコンクール子どもの部で優秀賞歴を持つほどの腕前です。

御柱祭を支える諏訪人たち

「はじめは照れたりもしたけど、自分の木遣りにあわせて、みんながヨイサヨイサと声をかけてくれると、木遣りが伝わったんだ!とうれしくなります」と笑顔を見せる姉の美結さん。そんな木遣りの親子でも難しいというのが節まわし。

「木遣りは譜面があるわけではないので、基本的には聴いて覚え、最後は自分のものを見つける。それが一番難しいのですが、醍醐味でもあるんです」と光彦さん。伊藤さん親子も参加する七年に一度の大舞台は直前。熱く響く木遣りの鳴き声にも注目です。

御柱祭を支える諏訪人たち伊藤 光彦さん(写真右)、美結さん(写真中)、里紗さん(写真左)(諏訪市)

父・光彦さんに導かれて高2の長女・美結さん、中1の次女・里紗さんも木遣りの世界へ。
まわりからは「御柱家族」とも言われるほど、親子一緒に木遣りで祭りを盛り上げています。

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