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ライフスタイル・オブ・信州ライフスタイル・オブ・信州

チーズに感じる信州のかおり うまいチーズは“山”にあり

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険しくも美しいアルプスの山々や、暮らしに寄り添う里山で作られるチーズたち。作り手たちは、信州の多様な自然環境を、“その地らしさ”の味に変え、生かしこだわりのチーズを生み出しています。

理想の“アルパージュ”を求めて

晩秋のまきば
晩秋のまきばで、自由に過ごす牛や羊たち。牛と異なり、羊は搾乳を終えた晩夏から初冬まで、小屋に戻らずずっと山で過ごすそうです。

清水牧場チーズ工房

乗鞍岳と御嶽山の中間に位置する鎌ケ峰の中腹。標高1,500mのまきばの中でブラウンスイス牛とフライスランド羊を育て、“山のチーズ”作りに情熱を傾けるのが、清水牧場チーズ工房の清水則平さん・晴美さん夫妻です。
子どものころから“牛飼い”に憧れていたという則平さん。1982年に岡山県で念願だった乳牛の牧場経営をスタートさせました。しかし、牛舎で餌を並べ、ミルクを搾る作業を行う現実は、則平さんが思い描いていた“牛飼い=大自然の中の広い牧場で牛たちと家族のように暮らす”というイメージとは異なるものだったといいます。牛とミルクの関係性を徹底的に勉強し直す中で、2人の感性を刺激したのがチーズでした。毎週のようにフランスからチーズを取り寄せるなど知識を深めていく中、“アルパージュ”という山岳地帯のチーズ作りに強い憧れを抱くようになりました。

清水夫妻
アルパージュに興味を抱くのとほぼ同時期に、アルプスの山岳地帯で飼育される牛「ブラウンスイス」を知った清水夫妻。「当時、日本で唯一ブラウンスイス牛を飼育していた日野水牧場でミルクを飲ませてもらった瞬間にこれだ!と思ったんだよね」と振り返ります。

「チーズの本場のヨーロッパでは、その地の気候風土に合った牛を飼い、そのミルクでチーズを作るのが当たり前。土地によって、作られているチーズの種類も味も全然違うんです。その中でも私たちが理想としたのは、“アルパージュ”。標高1,500m以上の高地で初夏から秋まで牛を放牧し、良質な自然の草を食べさせ、そのミルクからチーズを作るスタイルでした」

しかし、当時の牧場の標高は450m。“アルパージュ”が実現できる地として思い浮かんだのが、3,000m級の山々が連なる長野県でした。少しでも理想の地へ近づくため、牛と羊を引き連れた大移動の末、長野県東御市に牧場を開業。そして2005年、ついに現在の地に巡り合います。酪農に携わりはじめてから25年の月日が経っていました。

ブラウンスイス牛
森の中を流れる小川の水で喉を潤すブラウンスイス牛。

5月、長く厳しい冬が終わるとともに始まる放牧。朝の搾乳が終わると、6時ごろには牛たちが一斉にまきばに向かって森の中を駆け上がっていきます。広大なまきばの中で自生する草を食べ、山から流れ出る清らかな水を飲み、のんびりと過ごす牛や羊たち。15時ごろになると牛たちは自然と小屋に戻っていくのだそう。そんな自然豊かな環境で育った牛や羊のチーズは、山々の自然や生命の力強さを感じる滋味深い味わいで、多くの人々を魅了しています。

詳しくはこちら https://www.ginza-nagano.jp/?p=49914

[清水牧場チーズ工房]
松本市奈川51 TEL 0263-79-2800
http://www.avis.ne.jp/~svarasa/

INFORMATION

毎月20日入荷予定


地域と織りなすチーズ作り

熟成前のチーズ
熟成前のチーズ。ミルクは東御市の小林牧場から仕入れています。

BOSQUESO CHEESE LAB.

「MIMAKI」「FUSE」など、近隣地区の名を冠したユニークなチーズが並ぶBOSQUESO CHEESE LAB.。
「原料のミルクの成分や風味が、日々微妙に変化したり、 熟成が味に深みを加える点がチーズ作りの難しくも面白いところですね」と話すのはオーナーの是本健介さん。自動車会社のエンジニアからチーズ職人へと転身した経歴を持ちます。

是本さんと猫をモチーフにしたチーズ
チーズに地元らしさを出し続ける是本さん。近所の猫をモチーフにしたチーズも。

是本さんのチーズは、ヨーロッパ流の製法に“長野らしさ”を加えることが特徴で、常にチーズ作りに生かせる素材を探しているそう。その一例が、近隣の温泉を活用したチーズ作り。アルカリ成分の強い温泉水でチーズを磨くウォッシュチーズの「KASUGA」や、塩分の濃い温泉水に漬けたモッツァレラチーズなど、20種ものこの地ならではのチーズを製造しています。
地域の人々とつながる中で、この地に対する思いを強めていった是本さん。「チーズを通して地域を盛り上げていきたい」と、新たな風を吹き込み続けます。

詳しくはこちら https://www.ginza-nagano.jp/?p=49916

[BOSQUESO CHEESE LAB.]
佐久市春日2208-2 TEL 050-1170-2575
https://bosqueso.official.ec/

INFORMATION

毎月10日入荷予定


100の挑戦が生み出したチーズ

「翡翠」(青かびタイプ)
「翡翠」(青かびタイプ)

アトリエ・ド・フロマージュ

1982年創業のアトリエ・ド・フロマージュ。日本で初めてクリーミーなフレッシュチーズ「フロマージュ・フレ」を製造したチーズ界のパイオニアです。
「創業者の松岡夫妻が『100チャレンジして1つ成功すればよい』と言うのも、自身が挑戦し続けてきたからこそでしょう」と話すのは、チーズ製造の責任者・塩川和史さん。2007年に入社し、日本のチーズを世界レベルに引き上げたいとの思いでチーズ作りに取り組んできました。

塩川さん
「ブルーチーズの2度の受賞で常に高品質なチーズを製造していると証明できたことがうれしい」と塩川さん。

特に力を入れるのがブルーチーズ。さまざまなチャレンジや改良を積み重ね、2014年には「ジャパンチーズアワード」のグランプリを、今年11月には「翡翠」(青かびタイプ)が「World Cheese Awards 2021」で国内唯一、最高品質の16品に選ばれる快挙を成し遂げました。
「創業者から続く試行錯誤の積み重ねが今につながっています。自分もさらなる挑戦を重ね、次世代につなげたい」と塩川さん。100の挑戦がまた新たな逸品を生み出します。

詳しくはこちら https://www.ginza-nagano.jp/?p=49918

[株式会社アトリエ・ド・フロマージュ]
東御市新張504-6 TEL 0268-64-2767
https://www.a-fromage.co.jp/

INFORMATION

毎月15日入荷予定


銀座NAGANOで取り扱う各社チーズの一覧はこちら
https://www.ginza-nagano.jp/?p=50009

この記事は2021年12月時点の情報です。
取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください。

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