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革新と伝統どちらがお好み?信州が誇る高級ぶどう

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なし、りんご、きのこなど、さまざまな農作物が旬を迎え、いよいよ信州にも実りの秋が到来。信州の秋の味覚と聞いて「ぶどう」を連想される方も多いのでは?世界中には10,000種類以上、日本でも100種類以上存在するとも言われるぶどう。「よりおいしく、見た目にも美しいぶどうを」との思いから、多様な品種が生み出され、私たちの秋の食卓を彩っています。

輝く赤色の“ぶどうの女王” クイーンルージュ®がデビュー!

クイーンルージュ
新品種の開発は時間がかかるもの。クイーンルージュ®も多くの人たちが研究と苦労を重ね、作りあげてきました。

長野県果樹試験場(須坂市)
育種部 研究員 市川 悦子さん

全国トップクラスの日照時間や、昼夜の寒暖差の大きさなど、おいしい果物栽培に必要な条件を兼ね備えた長野県。秋のフルーツの代表格、ぶどうも生産量全国2位を誇り、県下各地でさまざまな品種が栽培されています。

そんな長野県で10年以上もの歳月をかけて開発された高級ぶどうの新品種が「クイーンルージュ®」。開発当時、シャインマスカットのように、種がなく、皮ごと食べられるぶどうの需要が高まったことから、同様の特徴をもった“赤い”品種を目指し、赤紫色で細長い形が特徴のユニコーンにシャインマスカットを交配させて誕生しました。

鮮やかな赤色が一番の特徴で、シャインマスカットより少し皮が薄めでありながら果肉がしっかりとし、歯切れ、皮切れがよいのも魅力。県内農家では40年ほど前から赤色のぶどう品種をいくつも作ってきましたが、発色や着色が安定せず、試行錯誤を繰り返してきました。だからこそ、ようやく生み出されたこのクイーンルージュ®への期待は高く、また生産者からも「赤色が鮮明で粒もしっかりしていて作りやすい」と評判は上々です。

市川悦子さん
研究員の市川悦子さん。「赤色の品種は着色を安定させるのが非常に難しく、もっときれいな赤色にしたいし、色の安定のための栽培方法などをこれからも探っていきたいです」と話します。

また2018年から開発に関わる研究員の市川悦子さんが、初めて食べた時にどの品種よりも甘いという印象を抱いたと話すように、平均糖度は20度とナガノパープル(同18度以上)、シャインマスカット(同19度以上)をも上回る甘さで食べ応えがあるのも特徴です。一口食べるとさわやかなマスカットの香りと上品な甘さが口いっぱいに広がります。

ぶどう畑
長野県果樹試験場では1ヘクタールの畑でぶどうの試験栽培を行っており、他にも、りんご、モモ、スモモなどを10ヘクタールの畑で栽培しています。

「シャインマスカットやナガノパープルのように、お子さんからお年寄りまで広く親しまれ、また、数十年もの長期にわたって人気のある巨峰のように、消費者、生産者、どちらからも長く愛される品種に育ってほしいです。また、その名の通り“ぶどうの女王”のような存在になれば」と市川さん。生産者、そして開発に携わった多くの人々の期待を背負って、この秋クイーンルージュ®がいよいよ本格デビューを果たします。

詳しくはこちら https://www.ginza-nagano.jp/?p=48486

[長野県果樹試験場]
須坂市小河原492 TEL 026-246-2415
https://www.pref.nagano.lg.jp/kajushiken/


ぶどうらしさが凝縮!巨峰の魅力を全世界へ

秀果園のぶどう
秀果園では巨峰が3割、その他の品種が7割を占め、見た目や香り、食感などお客様にバランスよく提案したいとの思いから多くのぶどうを栽培するようになりました。

株式会社秀果園(東御市)
社長 渡邉 隆信さん

「ぶどうの王様」とも呼ばれ、今でも高い人気を誇る巨峰。根強いファンも多く、長年に渡り愛されている品種です。

長野県内で最初に植えられたといわれる巨峰の木「お母さんの樹」があるのが、東御市の秀果園。昭和20年代末、先代がりんごからの転換を考えていた際、東京の大手企業で働く親戚から「マスカット・オブ・アレキサンドリアというぶどうが高価格で流通していて大人気である」との情報を得て、自身も高級果実の栽培に挑戦したいと心を動かされたのがきっかけです。

お母さんの樹
「お母さんの樹」と呼ばれる巨峰の大木。65年経った今なお現役でおいしい巨峰を実らせています。

その後、地元の5人の農家とともに、育種家で巨峰の生みの親である伊豆の大井上康氏を訪ねて穂木を譲り受け、昭和31(1956)年の春、秀果園に定植しました。この木こそが「お母さんの樹」です。昭和40年代に栽培技術が確立すると一気に県内に栽培が普及。今でも長野県が生産量1位を誇ります。さまざまな品種の登場により近年は巨峰の栽培をやめてしまう農家もある中、秀果園では65年もの長きにわたり、こだわりを持って栽培に取り組んでいます。

渡邉さんと奥原さん
現社長の渡邉さん(右)と奥原さん(左)。秀果園では多くの若手農業者が活躍しています。

「皮や種を取るわずらわしさはあるけど、種の周りにこそぶどうのうま味が凝縮されます。濃厚な味わいの種あり巨峰は本当にぶどうらしい品種だと思うんです。幼い頃から見守り、私の人生を捧げるとともに、長野県のぶどう栽培の発展の礎を築いてきた高級ぶどうの代名詞でもある巨峰に対し、思い入れもあります。今後も巨峰の魅力を伝え続けていきたい」と秀果園代表の渡邉隆信さん。

同時に、秀果園ではお客様のニーズにあったぶどう栽培を心がけており、人気のシャインマスカットやナガノパープル、クイーンルージュ®を中心に30品種以上ものぶどうを栽培しています。

自社ぶどうを使ったセミドライぶどう等の商品
海外への輸出も決まり、巨峰をはじめ、自社ぶどうを使ったセミドライぶどう等の商品開発も手がけます。

「日本の安全・安心な農作物は海外でも高い評価を得ているし、何より長野県の農作物ってうまいと思っている。今後はライフワークとして、そのおいしさを世界に伝える取組みにも力を入れていきたい」と渡邊さん。秀果園の挑戦は続きます。

詳しくはこちら https://www.ginza-nagano.jp/?p=48490

[株式会社秀果園]
東御市和2789 TEL 0268-64-7005
https://syuka-en.com/

この記事は2021年9月時点の情報です。
取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください。

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