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新時代を拓く信州ブランド
信州ブランドアワード2021
しあわせ信州部門 大賞
「N-PLAjet」

しあわせ信州部門 大賞
「N-PLAjet」
2021テーマ「ゼロ・カーボン」

次世代のプラスチックをつくる技術の結晶

日精樹脂工業株式会社 代表取締役社長 依田 穂積さん

機械・金属工業の町として発展してきた坂城町。ここを拠点とし、グローバルに展開する企業も数多くあります。1947年創業の日精樹脂工業もその一つ。プラスチック製品を作る射出成形機製造の国内専業最大手企業です。

坂城町に本社を構える日精樹脂工業株式会社

坂城町に本社を構える日精樹脂工業株式会社

同社では、SDGsや地球温暖化への懸念が叫ばれる以前から環境への取り組みが行われており、その研究開発の集大成ともいえる技術がプラスチックの常識を変えるかもしれないと注目されています。

「このシャンパングラス、実はPLA(ポリ乳酸)という植物由来の生分解性樹脂で作られているんです」
厚さ0.65ミリと薄く、繊細なグラスを手に話すのは日精樹脂工業 代表取締役社長の依田穂積さん。

生分解性樹脂から作られたシャンパングラス

生分解性樹脂から作られたシャンパングラス

PLAはサトウキビやトウモロコシ等を原料とする植物由来の樹脂で、微生物などの作用により分解する生分解性を有するため、自然に返すことができます。環境保全が世界共通の重要課題となり、特に脱炭素への取組みが重要視される中、この素材に注目が集まるものの、一般の石油由来の樹脂と比べると成形するのが非常に難しいという側面も。日精樹脂工業が開発したPLA専用射出成形システムを実装した機種「N-PLAjet」が実現したのが薄くて美しい生分解性樹脂の成形でした。

「1975年のオイルショックのとき、世界中の石油が枯渇してしまうのではとの危機感からプラスチックの代替素材の射出成形に取り組み始めたのがきっかけでした。今では、環境問題のソリューションにしなければならないとの大きな使命感を持って取り組んでいます」と依田さん。

依田穂積社長

依田穂積社長

開発には多くの苦労がありました。植物由来の樹脂は流れが悪いことから金型に充填しにくく、急収縮するため温度管理が難しく、タイミングを間違えると金型から製品を取り出せなくなるそう。そして強度も長年の課題でした。

「“こんなものは作れないだろう”というところから始まった研究開発でした。均一に樹脂を流す技術や、超微細発泡させた空気を樹脂に混ぜ素早く流し入れる技術、温度をコントロールして、製品を金型からきれいに取り出す技術など、N-PLAjetには私たちが積み重ねてきた技術が凝縮されています」と依田さんは自信をのぞかせます。

N-PLAjet

N-PLAjet

環境にも配慮した上で、機能性に優れ、見た目にも美しい製品を生み出す技術は世界からも高い評価を得ています。材料の提供を受けている企業からも「うちの素材でこんな素晴らしいものができるとは思わなかった。提供する材料メーカーの想像を超えたものができているというところにものすごいポテンシャルを感じた」との称賛を得たのだそう。

昨今はアフリカ開発会議や世界水族館会議など、環境問題を提起する国際会議でN-PLAjetから成形された製品が使用され、環境保全の啓発活動の一助を担っているとのことです。

N-PLAjetで作られる製品の一例。多様なジャンルへの展開が可能

N-PLAjetで作られる製品の一例。多様なジャンルへの展開が可能

「長野県は県土の8割が森林で、自然環境に恵まれている。この強みを生かし、坂城町の間伐材を利用し、それを超微細粉末化させ、PLA樹脂に混ぜてあげることで、新しい生分解性の樹脂を開発し、長野県発坂城町発のブランドとして発信していく。そんなことにもチャレンジしたい」と地域と共生する未来のビジョンを語ります。

プラスチックが日常生活に欠かせない存在となっている今日、このN-PLAjetの技術が更なる進化を続け、長野県発のゼロカーボンを象徴するブランドになっていくのではないかという評価を得てブランドアワードの受賞に繋がった取り組み。ものづくりの町坂城町から世界に向けて、日精樹脂工業の取り組みが新たな境地を切り開いています。

 

※この記事は2022年4月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください

 
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