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【特集記事】信州の肉を喰らう!《第2弾》
vol.2 焼肉日本一!南信州で楽しむ羊肉や内臓食の魅力

飯田市広報ブランド推進課 市瀬 智章さん
南信州畜産物ブランド推進協議会 平沢 真一さん

南信州もまた、古くからめん羊飼育による羊肉文化が根付く土地。特に飯田市は人口1万人当たりの焼肉店数が全国一の“日本一の焼肉の街”として知られ、どの店にもほぼマトンが並んでいます。

「この地域では全国で高い評価を受ける南信州牛や数多くの銘柄豚など畜産が盛んですが、“飯田焼肉”は羊から始まったと言われています。今では店で提供される羊肉は輸入物になりましたが、もとは羊毛の生産が盛んで、老齢になった羊をタンパク源として食べていたことから羊を食べる文化が根付いています」

こう話すのは、飯田市農業課で「南信州畜産物ブランド推進協議会」事務局の平沢真一さんです。

▲南信州の良質で特徴ある食肉文化を広くPRする「南信州畜産物ブランド推進協議会」の平沢真一さん

また、「マトンの独特の風味が苦手な人もいると思いますが、飯田市民は焼肉店でマトンを注文しない人はいないというほど好んでよく食べます。それは、昔から地域で食べられてきたからです」と語るのは、飯田市広報ブランド推進課の市瀬智章さん。

そのマトンからつながる焼肉文化は、精肉店では電話一本で焼肉道具セットを運ぶ「出前焼肉」のサービスがあるほど地域に根づいています。

▲「マトンやジンギスカンは市民にとっておなじみの肉」と話す飯田市広報ブランド推進課の市瀬智章さん

この地でマトン(ジンギスカン)が流通した背景は諸説ありますが、一説によると、昭和10〜20年代にこの地域に来ていた朝鮮半島の人々が、唐辛子やニンニクから作った独自のタレを揉み込んだ家畜の羊肉を焼いて食べていたことにあるそう。それまで地域では、肉は鍋で煮て食べるのが主流だったそうですが、ここから羊肉をタレに漬け込んで焼く文化が広がったと言われています。

▲マトンは南信州の焼肉で外せないメニュー

家庭で焼肉を食べる文化が根付くとともに、昭和20年代から焼肉店が地域内に徐々に増えていきました。今やスポーツ大会や運動会といった行事、草刈り等の作業の慰労会、懇親会などのほか、飯田下伊那地域で活発な公民館活動など人々が集まるさまざまな場面で、飯田市では焼肉がセットで行われるのが定番です。

また、コロナ禍以前の飲み会では一次会で焼肉店に行き、二次会を経て夜も更けたころ、締めとなる三次会でも焼肉店に行くことが多かったとか。遅い時間まで営業している焼肉店が多いのも、焼肉文化が根付くこの地域ならではです。

しかし、市民にとって焼肉はあまりに身近だったことから、“日本一の焼肉の街”であることは、意外にも行政でも明確に把握していなかったそう。認識されたきっかけは、ひょんなことからでした。

2011年に開催された自治体職員研修会で親交が生まれた北海道美幌町の職員から、翌2012年に北海道新聞が掲載した記事の情報提供を受けたのです。北海道北見市の焼肉特集で、人口1万人当たりの焼肉店舗数が全国では飯田市についで2番目、つまり飯田市が1位と紹介されていたのです。

その後、2015年に「南信州牛ブランド推進協議会(現南信州畜産物ブランド推進協議会」がタウンページの情報を検証。飯田市が全国1位であることを正式に確認し、公表しました。以降、“日本一の焼肉の街”として、地域内外の各メディアに取り上げられることになりました。

2020年には、飯田下伊那食肉組合(現南信州食肉組合)と地域のマルマン株式会社が日本記念日協会に申請し、11月29日を「飯田焼肉の日」に制定。2021年に市民有志の飯田焼肉世界記録挑戦実行委員会が11m29cmの鉄板で焼肉をし、“世界一長い鉄板”が世界記録に認定されました。

そして、2022年、株式会社信州セキュアフーズが市内中心部に「信州飯田焼肉研究所」を設立。焼肉店の情報発信や加工品の販売、飯田の焼肉の歴史資料や“世界一長い鉄板”の展示などを行う新拠点として、早朝6時から深夜24時まで営業しています。行政主導ではなく、民間企業が率先して地域の文化をリードしているのも“飯田焼肉”の特徴です。

▲2022年11月29日の「飯田焼肉の日」にオープンした「信州飯田焼肉研究所」

また、内臓食(ホルモン)も飯田焼肉の魅力です。地域にはかつてと畜場があり、新鮮な内臓が入手しやすかったことから、「黒モツ」など他地域では見られないような内臓部位や、ホルモンを茹でた「茹でホル(茹でおた)」などの独自のメニューが焼肉店に名を連ねています。

▲牛の内臓の黒皮まで食す「黒モツ」は現地を訪れないと味わえないメニュー。ボイルして提供され、好みの食感まで鉄板で焼く

そんな焼肉激戦区の飯田市内でも、南信州牛とともにマトンや「黒モツ」など昔ながらの飯田焼肉の両方が味わえるのが「和牛一頭買い ふえ門」です。南信州牛は主に関西に流通しており、地元ではなかなか味わえなかったなか、同店では国産牛の最高等級であるA5ランクに認定された南信州牛のみを一頭買いして提供。トレーサビリティを確立するとともに、貴重な部位も豊富に揃えています。

そんな「ふえ門」の特徴はタレにも見られます。飯田市では「各家庭に秘伝のタレがある」と言われるほど焼肉のタレにこだわりをもつ人が多くいますが、同店では辛口と甘口の2種類を用意。どちらもたまり醤油のブレンドがベースで、辛口は飯田市内の焼肉店に多く見られるニンニクを効かせている一方、甘口は南信州のフルーツを使い、ニンニクは使っていません。

「辛口のタレは『黒モツ』などの内臓系やマトンによく合い、甘口は牛肉のおいしさが際立ちます。ただ、内臓系でもシマチョウなど脂が多いホルモンは甘口のタレにネギやニンニクを加えるのがおすすめですね」

こう話すのは、代表の佐々木 博さん。最近の一番人気メニューはミックスホルモンですが、南信州牛を目当てに訪れる人からは、上カルビの盛り合わせやリブロース、上ハラミなども好評だと言います。また、牛タンの最高級部位「タン元」は、厚切り牛タンの柔らかさとジューシーさを堪能でき、ファンが多い一品です。

「やはり南信州牛はうまいですね。どの肉も牛脂を敷いて焼いたほうがおいしいですし、厚めの肉はじっくりと焼いてください」

▲週3日は焼肉を食べるというほどの焼肉好きが高じて2018年に「ふえ門」をオープンした佐々木さん

近年は「せっかく飯田を訪れたなら南信州牛を食べたい」と、県外からも多くの人が訪れるという同店。“飯田焼肉”の豊かなバラエティに彩りを添えています。

▲「ふえ門」の人気メニューのひとつ「ミックスホルモン」

「飲食店や事業者の皆さんと市民、行政が協力し、“焼肉の街”を一段と盛り上げていきたい」と市瀬さんと平沢さん。行政としては、同様に焼肉店が多い北海道北見市など他県の自治体とも協力し合うことで、市内外のつながりから飯田の焼肉文化をPRしていきたいと意気込んでいます。

 

南信州畜産物ブランド推進協議会
住所:飯田市鼎東鼎281 飯田市農業課生産振興係内
電話:0265-21-3217
https://msgyu.com/

 

和牛一頭買い ふえ門
住所:飯田市銀座3-1-1 トップヒルズ銀座1F
電話:0265-52-9029
https://fuemon.com/

 

※この記事は2022年10月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください

 
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