商店街、温泉、酒蔵など、見どころ満載!
諏訪、ぶらり散歩のすすめ Vol.2
2022.03.15
クロスする大断層が生みだしたさまざまな諏訪らしさ
温泉、花火、アートめぐり、サイクリングなど、湖畔での楽しみが満載の諏訪市。
「この地域を語る上で“フォッサマグナ”は外せません」と話すのは一般社団法人大昔調査会の理事長高見俊樹さんです。
大断層がクロスする地に位置する諏訪湖
フォッサマグナの西縁を形成する糸魚川―静岡構造線と関東から九州にかけ伸びる長大な断層である中央構造線の交わる山間の盆地に諏訪湖があります。この特異な地形こそが諏訪地域にさまざまな恵みをもたらしてくれました。諏訪湖自体もこの断層の動きによって誕生した湖です。
中でも温泉は500を超えるといわれる豊富な源泉に恵まれていて、その源泉は点々と並んで湧き出ています。
「女神様が諏訪の神宮寺の岸から舟にお乗りになり、湖の北の下諏訪へと一直線に移動する途中、綿にしめらせたお湯の雫が落ち、土の中から「温泉」が湧き出したとの伝説も残っていますが、これも付随する小断層線に沿って温泉が湧き出ているから湯口が並んでいるんです」と高見さん。
関東や中京圏からのアクセスが良かったこともあり、日帰り入浴ができる温泉施設が多いことも特徴。地域ごとに温泉を管理する組合があり、地域の人に親しまれる“庶民の湯”がたくさんあります。
例えば江戸時代から親しまれる平温泉や、製糸工場が栄えた昭和初期に建てられ“1000人風呂”という異名を持つ「片倉館」など、温泉は諏訪にとって古くから身近な存在だったことがうかがえます。
甲州街道沿いに立ち並ぶ五つの老舗酒蔵
また、酒、みそ、しょうゆ、染め物屋など清冽な湧き水を生かした産業が多いことも諏訪の特徴です。
中でも酒は甲州街道沿いのわずか700mのエリアには「舞姫」「麗人酒造」「本金酒造」「伊東酒造」「宮坂醸造」と5つの酒蔵(諏訪五蔵)が立ち並んでいます。
「諏訪藩が栄えた頃、諏訪五蔵の位置する土地に、酒、味噌、醬油など計13の醸造蔵が集められたそうで、その頃から酒蔵は5つだったと聞いています。長い歴史の中で、さまざまな変遷を経ながらも、今なお五蔵が残っています」と教えてくれたのは本金酒造の宮坂ちとせさん。家庭的な雰囲気で地域から愛され続けている蔵元です。
「諏訪は酒のほかにも、味噌、寒天、精密機器など多様なものを生み出す『ものづくり大国』です。山間地域の盆地ならではの狭あいな土地や寒冷な気候など、厳しい条件下であったからこそ、諏訪の人々にはものづくりと真正面から向き合う気質が生まれたのだと思います」と、1662年創業と諏訪五蔵の中で最も長い歴史を持つ宮坂醸造の宮坂直孝社長は語ります。
加えて、このエリアは霧ヶ峰高原から流れる角間川の扇状地で、霧ヶ峰の伏流水が湧き出ている場所。質の高い酒の仕込み水が得られることも、酒蔵が集まった理由のひとつではないかと髙見さんは推察しています。
海外展開も手掛ける「宮坂醸造」、家族経営の「本金酒造」、世界的なコンクールで賞を受賞するようなビール醸造も手掛ける「麗人酒造」、顔の見える酒づくりをモットーに醸す「舞姫」、温泉熱を利用した麹づくりを行い代表銘柄の横笛などを醸す「伊東酒造」と、バラエティーに富み、訪れる人を飽きさせない構成となっている諏訪五蔵。
近年では互いに協力しあい、地域を盛り上げる活動も行っています。その一例が「いつでもごくらく酒蔵めぐり」。チケットを購入し、グラスと葉書を手に五蔵を巡ると各蔵で試飲が楽しめます。(3月10日現在新型コロナウイルス感染拡大防止のため、試飲は行わず、ワンカップのお渡しのみ)。
東日本と西日本の交差点として、また多くの人が行き交う地として、諏訪湖と諏訪大社を中心に古くから栄えた諏訪エリア。
フォッサマグナが作り出す地形こそが、この地の人々の営みの特色を育んできたのです。
※この記事は2022年3月時点の情報です。取扱商品等は変更になっている場合がございますので、ご了承ください